2014 Fiscal Year Research-status Report
整合性分析と実証分析を統合した研究方法に関する研究
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26780252
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高橋 二朗 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70581619)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 整合性分析 / 会計学研究方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,会計基準の整合性分析と実証分析の関係を明らかにしたうえで,両者を統合した研究方法を模索するものである。具体的な研究項目は,(1)会計基準の整合性分析と実証分析の関係の解明,(2)両者を統合した新たな研究方法の模索の2つである。 本年度は,上記のうち主に(1)に焦点をあてた。整合性分析の代表的な文献である米山 [2008]に依拠して会計基準の整合性分析の特徴をまとめたうえで,会計基準の整合性分析と実証研究の接点について検討した。その結果,会計基準の体系を演繹的に考察するとともに帰納的にまとめる段階で実証研究と接点を有する可能性があり,会計基準の整合性分析の成果を実証研究にも応用できる可能性があることが明らかになった。 また,会計基準の整合性分析の科学性について,科学哲学の議論を参照しながらの考察も試みた。具体的には,様々な基準に基づいて会計基準の整合性分析がどの程度科学的な営みになり得るのかについて検討した。そこでは,①会計基準の体系をより広範囲にわたり,矛盾もなく,かつ単純に説明できる説明原理の構築を志向すること,②複数の説明原理の存在を許容し,説明原理間に競争原理が働くようにすること,③会計基準の目的として,何らかの観察される事象を意識したものが明示・設定されていること,④将来の会計基準の変化を予測し(変化のシナリオを記述し),その精度を高めようとするスタンスがとられていることなどが重要であるということが明らかになった。 なお,上述の成果はディスカッション・ペーパーとして公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたとおり,会計基準の整合性分析と実証分析の関係の解明に関する一定事項を明らかにすることができている。しかしながら,当該成果はディスカッションペーパーの段階にあるため,今後,議論を重ねたうえで速やかに雑誌等に公表する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であるため,まず,会計基準の整合性分析と実証分析の関係に関する研究成果を取りまとめて学会発表や研究論文として公表していくことを目標とする。同時に,整合性分析と実証分析を統合した新たな研究方法の模索も行っていくこととする。
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Research Products
(1 results)