2015 Fiscal Year Research-status Report
環境経営指標のマネジメントシステムへの統合に関する分析とモデル化
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26780256
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
北田 皓嗣 法政大学, 経営学部, 准教授 (90633595)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境会計 / マネジメントコントロールシステム / 質問票調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的である,企業が環境経営指標をマネジメントコントロールシステムに関係付けるプロセスの解明について,本年度までにマテリアルフローコスト会計(MFCA)を通じた資源生産性の指標の利用について,既存の環境マネジメントに関する組織能力がどのように影響するのかについて明らかにした。具体的には,マネジメントコントロールシステムの枠組みを用いて,(1)「環境マネジメントにおける指標の利用のケイパビリティ」,(2)「環境マネジメントにおけるリスクおよび理念に関するコミュニケーションのケイパビリティ」,(3)「環境マネジメントにおける非公式的なコントロールのケイパビリティ」が,企業のMFCAの採用の意思決定に与える影響を,日本企業を対象とした質問票調査を通じて分析した。構造方程式モデリングを用いた分析の結果,(1)(3)のケイパビリティがMFCAの採用の意思決定に影響することが示された。このことは,環境経営指標がマネジメントコントロールシステムの設計との関係で利用されることを示唆している。 またこれらの経験的な研究の調査結果を反映して,実務家やコンサルタントの人たちとともにワーキンググループを設定し,環境経営指標としてのKey performance Indicators (KPI)の設計および実際の企業での利用可能性について調査を始めている。これにより資源生産性に特に焦点を当てたマネジメントコントロールのモデルの構築を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度実施したフィールド調査については,10月にジュネーブで開催されたthe first WBCSD and EMAN joint symposium や3月にマレーシアで開催された2016 International Conference on Industrial Engineering and Operations Managementで学会発表した。また平成27年度にはドイツのドレスデン工科大学や日本の神戸大学との共同研究プロジェクトに参画し,質問票調査を実施し,環境マネジメントコントロールシステムのデザインと,MFCAの採用の意思決定の関係を分析し,2016年7月にメルボルンで開催されるAsia-Pacific Interdisciplinary Research in Accounting Conferenceでの発表を受理されている。また平成27年度ー28年度またがって実施するバランスドスコアカードのモデル設計のために,日本MFCAフォーラムでのワーキンググループの活動も実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる28年度には,当初の計画通りバランスドスコアカードの枠組みを援用して,環境経営指標の利用についての理念的なモデルを提示する。そのために日本MFCAフォーラムのワーキンググループを通じて,実践家,研究者の共同研究プロジェクトを昨年度から組織し,定期的に話し合いの場を設定している。これまでの成果として,エネルギー利用においてMFCAが有効な管理指標として利用できること,それにより環境マネジメントコントロールシステムが抱える本業との乖離の問題を解消できることを明らかにした。これを敷衍し,本年度はMFCAを通じたキーパフォーマンスインディケーター(KPI)の設定の可能性について検討していく。また昨年度に実施した質問票調査の回答企業へのフォローアップでのインタビュー調査と合わせることで,環境マネジメントコントロールシステムにおけるKPIの組織での利用の側面への理解を補完することができ,多角的な理解を形成できることが期待される。
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Causes of Carryover |
予定していた学会発表が予定より遅くなり,年度をまたいで平成28年度に実施することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
7月にメルボルンで開催されるAsia-Pacific Interdisciplinary Research in Accounting Conferenceでの発表を受理されており,その学会発表のための旅費として使用いたします。
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Research Products
(4 results)