2015 Fiscal Year Research-status Report
行政組織における業績管理システムのデザインと利用方法が組織業績に与える影響
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26780257
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
目時 壮浩 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (90548851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行政評価 / 業績管理システム / 業績評価 / 管理会計 / 業績管理システムのデザイン / 業績管理システムの利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,主に行政組織を対象として,業績管理システム(以下,PMS)のデザインと利用方法が組織のパフォーマンスにいかなる影響を与えるかについて定性的および定量的研究方法を用いて明らかにしようとするものである。一般的に行政組織をはじめとするパブリックセクターは,民間組織と異なり,競争意識が働きにくく,PMSの導入をしたとしても,形式的な導入にとどまり,実質的に機能しないことが多いことが指摘されている。そこで,今年度は業績指標のデザインにおける指標の設定や修正のメカニズム,さらには,業績評価指標の修正を促すメカニズムについて分析を行った。当該分析の結果,PMSにおいて,設定された業績指標や目標水準の妥当性について他の事業部から評価をうける部門間相互評価の仕組みを組み込むことによって,指標の妥当性や客観性についての議論が促され,PMSの有効性が高まる可能性が明らかとなった。これにくわえて,業績評価指標の固定化が組織成員の心理にもたらす影響や,PMSに対して強いコミットメントをもたらす仕組みについて,現在研究を進めている。これについては,最終年度に成果を取りまとめ公表する。また,本研究の目的を達成するうえで,検討すべき新たな課題も明らかにすることができた。行政組織においては,住民や社会に対する説明責任との関係において,行政組織における内部情報を外部へ公表することが求められる。評価プロセスや評価結果を外部へ公表することを通じて,外部からのチェック機能がはたらくことになるが,この点既往の外部報告は,外部からのチェック機能を高めるような有効な仕組みには必ずしもなっていない。パブリックセクターにおいて,PMSを有効に機能させるためには,外部報告との関連における議論も必要となる。上述の研究と並行して,統合報告による業績評価情報の外部報告についても合わせて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究プロジェクトは3年間のプロジェクトであるため,3年目には国内外の査読付き学会誌への掲載を目指していた。しかし,定性データの収集についてはおおむね順調であったものの,定量データ,とりわけ,質問票調査について実施が遅れている。質問調査票については,ほぼ作成が完了しているものの,昨年は予算の都合で実施することができなかった。したがって,最終年度の比較的早い段階で質問票調査を実施し,分析にたる定量データを入手することにしたい。7月頃を目途に実施の予定であるが,この時期に実施することができれば,最終年度での研究成果の公表も予定どおり実施することが可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり,次年度は最終年度となるため,研究成果の公表を最終的なゴールとして設定し,研究プロジェクトを進める。定性データの収集はおおむね完了しているため,定量データの収集とその分析に焦点をあてる。既述のように,定量データは質問票調査を通じて入手する予定であるが,質問票自体はほぼ完成しているため,最終年度の早い段階で質問票の送付を行い,夏の段階で分析に必要となるデータはひととおり入手を終える。その後,現在執筆中の原稿にくわえ,PMSのデザインと利用に関するメタ・アナリシス,ならびに,PMSのデザインと利用が組織のパフォーマンスに及ぼす影響に関する定量的研究に関する原稿を完成させ,国内外の査読付き学会誌に投稿を行う。これにくわえて,今年度に新たな研究課題として設定された,統合報告によるPMS情報の外部報告の可能性についても,可能な限り探究する。この点については,本プロジェクト期間のみで完結させることは難しいと考えられるため,進捗状況いかんによっては,次の研究プロジェクトへ引き継ぐこととしたい。
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Causes of Carryover |
アルバイトによる分析データの集計を予定していたが,アルバイトに依頼することなく,自ら集計作業を行うことができたため,約4万円の支出が回避された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既述のとおり,次年度質問票調査を行う予定であるため,集計・確認作業をアルバイトに依頼する。その際の謝金として次年度使用額を使用する。
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