2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780259
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
羽根 佳祐 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (50636834)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保険契約 / 対応概念 / 国際会計基準 / 収益認識 / 収益費用アプローチ / 資産負債アプローチ / 公正価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は保険契約会計における収益費用ないし資産負債の対応概念の現代的意義を明らかにすることである。平成27年度では、①前年度から引き続き、会計上の対応概念に関するサーベイ論文を執筆し、②国際会計基準審議会(IASB)が主導する保険契約プロジェクトの変遷を対応概念の変容の観点から論じ、当該プロジェクトの問題点を指摘した共著書を執筆し、③保険契約の収益認識を題材とした学会報告を行った。 ①では、収益費用アプローチと資産負債アプローチの対応観について述べた先行文献を概括することで、それぞれの会計観にもとづく対応手続の意義・役割について明らかにした。また近年、収益費用アプローチから資産負債アプローチへの会計観の重点移行が指摘されるが、当該移行に伴う対応観の変容とその帰結についても検討した。 ②では、IASB保険契約プロジェクトを「収益費用の対応概念の脱却を試み、公正価値モデルの適用を推進してきた歴史」として整理・分析し、それが失敗した経緯について論じた。また、保険契約プロジェクトの変遷を追うことで、IASBの保険契約会計に対する基本思考の抽出を試み、その基本的な思考に内在する問題点について明らかにした。IASBが保険契約会計において伝統的な対応モデルから脱却しようとしたものの完全には脱却し切れていないという現状こそが、会計(情報)に求められる普遍的な要素を示していると言える。 ③では、保険契約の収益認識に焦点を当てて、保険契約プロジェクトで示された基準案と、保険契約プロジェクトと並行して審議が進められていた収益認識プロジェクトでの成果物との整合性を分析した。また、整合性分析を通じて保険契約の収益認識規準に求められる特徴について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保険契約会計における収益費用の対応概念(ないし手続)の意義については、本年度の研究実績を通じて明らかにできた。他方で、資産負債のマッチング(対応)との兼ね合いから対応概念の意義をより明確化する作業が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
資産負債のマッチング(対応)との兼ね合いから収益費用の対応概念の意義をより明確化する作業が残されている。当初計画では、各国保険業及び保険会計の国際比較についても行う予定であったが、保険契約会計における対応モデルの精緻化に向けて、対応概念の意義の明確化に研究資源をさく予定である。
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Causes of Carryover |
申請者は平成27年度にイギリスへの現地調査を予定していたが、欧州で相次ぐテロ事件の影響に鑑み、海外研究出張を取りやめたため、当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においても国内での研究活動を行う予定である。したがって助成金は、物品費(図書含む)の調達や、海外ジャーナルへの論文投稿に向けての論文翻訳サービス(翻訳業者への翻訳依頼)の活用に使用する。
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Research Products
(3 results)