2014 Fiscal Year Research-status Report
日本企業における予算スラックの管理実態に関する経験的研究
Project/Area Number |
26780265
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 正隆 流通科学大学, 商学部, 講師 (00706905)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 予算スラック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本企業における予算スラックの管理実態を明らかにし,予算スラックに対する異なるコントロール手法やそれらが与える影響,およびその要因を解明することを目的としている。また、当初の研究計画において平成26年度は,本研究全体の基礎となる(1)探索的研究および(2)ケース研究のためのインタビュー調査を中心に行うことを計画していた。 以上のような研究の目的および計画に対して本年度に実施した研究の成果としては、予算スラックの測定に関するレビュー論文の発表である。 当該論文においては、予算スラックの測定に対するこれまでの取り組みとそれらにおける課題について文献レビューより考察している。文献レビューより、予算スラックの測定に関して主観的に測定しようと試みている研究と客観的に測定しようと試みている研究が行われているが、それぞれに課題を抱えていることが明らかとなった。例えば、主観的に測定を行う場合には、形成されているスラックの量を具体的な数値として測定しようとする試みが行われていないこと。客観的に測定を行う場合には、様々なモデルや考え方を利用して代理変数が考案されているが、その妥当性の確保には疑問が生じていた。こうした予算スラックの測定に関する研究の蓄積はまだまだ乏しく、今後の展開可能性について述べている。 今後、予算スラックに関する調査・研究(予算スラックに対する異なるコントロール手法やそれらが与える影響,およびその要因を解明すること)を実施する予定であるが、そのためには研究対象である予算スラックを測定することが重要であり、かつ大きな課題の一つとなる。そうした課題に取り組むにあたり、当該論文における知見は非常に意義があり、重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね全体の計画通りに進んでいる。本年度は研究計画とおり日本企業を対象としたインタビュー調査を中心に行った。当初の目標としていた二桁数とまではいかなかったが、8社から調査を快諾して頂き、実際にインタビュー調査を行った。それらの調査から研究目的である予算スラックの管理実態に関するデータを収集している。また、それらのデータをとりまとめ、研究成果として一度発表する準備を行っている段階である。 以上から、現在までの達成度としてはおおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては以下のことを予定している。 まず、日本企業を対象としたインタビュー調査を継続する。調査対象を増やし、データの蓄積を図ることによって、予算スラックの管理実態に関するモデルの構築を行う。そのために、随時調査依頼をしていく。 第二に、これまでの研究成果をまとめて学会で報告する。これまでの調査より得られたデータをまとめ、成果として発表する予定である。成果をまとめることによって、今後の研究スタンスや新たな課題が明らかになるかもしれない。 第三に、質問票調査実施の準備を進める。本研究の計画では、最終的に質問票調査を実施し、統計的実証分析を行う予定である。そのために、仮説の設定、質問票の作成、対象者のリストアップなどを進める予定である。
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Causes of Carryover |
まず、パソコンの購入を控えたことにより物品費が予定よりも少なくなっている。また、調査対象が予定よりも少なくなったことから旅費についても予定よりも少なくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に統計分析を行う際に新しいパソコンを購入する予定である。また、引き続きインタビュー調査を続ける予定であるため、次年度における調査において旅費として支出する予定である。 あるいは、次年度に質問票調査も実施する予定であるが、当初予定よりも対象範囲を広くした場合には、そちらの費用としてまわす可能性もある。
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Research Products
(1 results)