2016 Fiscal Year Research-status Report
資源動員プロセスにおける管理会計の役割に関する研究
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26780266
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
天王寺谷 達将 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (60709773)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イノベーション / マテリアルフローコスト会計 / 資源動員プロセス / 抵抗の問題への対処 / 計算の方程式の正当性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①管理会計が有する資源動員力を発揮するための条件について、新たな管理会計手法が組織に動員される局面に焦点を当てた研究、②資源動員の正当化プロセスの局面で、管理会計手法が有する「計算の方程式の正当性」に焦点を当てた研究を、両者ともマテリアルフローコスト会計を事例に行った。 ①については、採用者である製造現場の抵抗に着目した考察を行い、既存手法との適合性を高めることが、抵抗の問題に対処する適切なアプローチであること、そのアプローチの一手段として管理会計手法の位置付けを変えることが挙げられること、さらに、そのプロセスにコンサルタントなど提供者側のアクターを巻き込むことが有効であることなどを明らかにした。当該研究は、管理会計イノベーションの普及研究としても位置付けられるものであり、普及問題の解決方法の一つとして、管理会計手法の位置付けを変える方法を提示し、その重要性を強調した初めての研究である。 ②については、マテリアルフローコスト会計が有する「資源生産性の方程式の正当性」に着目し、環境負荷の低減、物質的可視性、コスト情報を介在しないコミュニケーション、効果表出の即効性と確実性などの観点から、マテリアルフローコスト会計は資源動員の正当化プロセスにおいて強みがあることを明らかにした。当該研究は、これまでの管理会計の構築的な役割を捉えてきた研究に「計算の方程式の正当性」という観点を加えることで、管理会計が有する資源動員力を評価することを可能にしたという点で重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献とインタビューを併用した研究は順調に進展しており、成果も出せている。その中で各プロセスについて掘り下げて研究することの重要性が明らかになったため、現在まで、そちらに焦点を当てた研究を行っている。したがって、当初の予定にあったアンケート調査は、相対的重要性の観点から、現時点では行っていない。当面は、解明すべき課題を追及することに重点を置きたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の①については、理論と実践のギャップという観点から、これらのギャップを埋めるための方策を提言するための研究を進めたいと考えている。②については、「計算の方程式の正当性」を高める要素を分類、分析することで、各管理会計手法が有する資源動員力の評価可能性を高めると同時に、イノベーションの促進という観点から管理会計手法を改善する方法を考察したいと考えている。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査が予定より実施できなかったこと、アンケート調査をしていないことが主たる理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施できなかったインタビュー調査を実施する。また新たに表出した課題について文献調査の必要性が生じているため、文献調査を充実させる。
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[Book] Management of Innovation Strategy in Japanese Companies (6. The Inherent Roles of Management Accounting for Promoting Innovation)2016
Author(s)
Hamada, K. and Hiraoka, S. (eds.) Kazuki Hamada, Takeshui Ito, Katsuhiro Ito, Kazunori Fukushima, Yasuhiro Monden, Tatsumasa Tennojiya, Shufuku Hiraoka, Noriyuki Imai, Naoya Yamaguchi, Junji Fukuda, Yuichi Kubota, Eiji Okamoto, Koji Umeda and Chiungfeng Ko
Total Pages
251(95-108)
Publisher
World Scientific Publishing