2016 Fiscal Year Annual Research Report
Hiroshima in America: National Government, Social Movements, and Survivors
Project/Area Number |
26780270
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
根本 雅也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 研究補助員 (00707383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 記憶 / 平和 / 核兵器 / 移民 / アメリカ / 原爆 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、暴力の記憶のグローバル化の可能性と境界について探るため、アメリカにおける、広島・長崎への原子爆弾の投下及びその惨禍に対する意味の諸相を明らかにすることにある。この目的を達成するため、平成28年度に実施したことは次の通りである。(1)在米被爆者個人の生活史についての聞きとり調査や関連資料の収集、(2)地域のコミュニティにおける原爆の災禍の意味を探るため、ニューヨークで行われている原爆関連の追悼行事の参与観察の実施、(3)全国的な反核運動の資料の収集、(4)オバマ大統領の広島訪問をめぐる現地やアメリカにおける人々の反応についての調査などである。 具体的な成果としては以下のとおりである。(1)在米被爆者個々人に対する聞きとりでは、前年度と同様に、彼らの存在が日本とアメリカという国や文化をつなぐ存在となりうる一方で、双方から排除されうるという固有の難しさを持つことが改めて確認できた。(2)ニューヨークで毎年8月に行われている広島・長崎原爆法要に実際に参加し観察した。仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教諸派の宗教指導者が参加したこの合同礼拝は、オバマ大統領の広島でのスピーチを流すなど、ヒロシマ・ナガサキの普遍性を強調していた。(3)1980年代アメリカ全土で広まった反核平和運動に関する資料を集めるため、ミズーリ大学セントルイス校を訪れた。だが、地域のレベルではヒロシマ・ナガサキに関する行事が行われていたものの、全国の運動としてはほとんど言及されていなかった。 (4)オバマ大統領の広島訪問が決定したことにより、当初の予定を変更し関連調査を行った。広島において人々の反応を探ると同時に、在米被爆者への影響を聞きとりを通じて探った。また、これまでの研究の成果をフィリピンで行われた日本研究の学会で発表し、平成29年6月には韓国で行われる国際学会での発表が確定している。
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