2014 Fiscal Year Research-status Report
女性の職業キャリア形成における標準学歴および追加的学歴の影響に関する実証研究
Project/Area Number |
26780273
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高松 里江 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (20706915)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ジェンダー / 働き方 / キャリア / 学歴 / 専攻分野 / 家庭 / 階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度である平成26年度は,ジェンダー化された学歴,スキル,キャリア形成を類型化するために,専攻分野の選択についての研究を行った.また,ジェンダー化された学歴,スキル,キャリア形成のひとつの類型として,海外志向・英語とキャリアについての研究を行った.具体的には以下の通りである. (1)昨年度より参加している東京大学社会科学研究所二次分析研究会で,高校生とその母親に対して行った調査データを用いて,どのような家庭環境のもとに,高校卒業後の学校機関での専攻が選択されるかを分析してきた.今年度はその分析結果をディスカッション・ペーパーとして発表した. (2)今年度も引き続き,東京大学社会科学研究所二次分析研究会に参加し,(1)と同じく高校生とその母親に対して行った調査を用いて,海外志向の規定要因についての分析を行った.分析の結果,ジェンダー平等意識が高いことと海外志向との関連が示された.研究結果については成果報告会で報告した.研究結果は書籍の一章として発表の予定である. (3)2010年と2012年に実施されたインターネット調査を用いて,海外でのキャリア形成において重要となる英語能力が,労働市場ではどう評価されるかを日仏比較により検討した.女性では英語能力の習得に積極的であるが,日本はフランスとは異なり,英語能力が賃金を高める効果は女性よりも男性で顕著であった.結果は国際社会学会(ISA,査読あり)で報告した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,学歴,スキル,キャリア形成の男女差を類型化するために,専攻分野の選択についての研究を行い,その形成要因を明らかにすることができた.また,ジェンダー化したキャリア形成のひとつの類型として,海外志向および英語とキャリアについての研究を行い,その形成要因と,労働市場での評価について明らかにすることができた.今年度の目標はほぼ達成された.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,労働市場における学歴,スキル,キャリア形成の男女差が現れる「追加的学歴」の概念整理と,基礎的状況の把握を行う.そのために,(1)まず,すでになされている大規模調査を用いて,追加的学歴の選択についての基本的な構造を明らかにする.ただし,すでになされている大規模調査を用いる場合,本人らがどのように考えて追加的学歴を選択したのかが明らかではない.そこで,(2)インターネット調査を実施し,追加的学歴の選択理由について明らかにする.インターネット調査では,自由回答欄を充実させ,テキスト分析を行う.テキスト分析を行うことで,本人らの考えを明らかにする.
|