2015 Fiscal Year Research-status Report
女性の職業キャリア形成における標準学歴および追加的学歴の影響に関する実証研究
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26780273
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高松 里江 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (20706915)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジェンダー / 働き方 / キャリア / 学歴 / 専攻分野 / 家庭 / 階層 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,「追加的学歴」についての実態把握のため次の2つの研究・調査を行った.ここで追加的進学とは,すでに高等教育機関への通学歴および初職以降の職歴のある者が,高等教育機関にさらに通学することを指す. (1)大規模調査の二次利用による追加的学歴の分析: 学歴情報を豊富に含む大規模調査データ(SSM2005,JGSS-2009LCS)を用いて,追加的学歴の特徴とジェンダーとの関連を検討した.追加的学歴が形成されるタイミングは個々人によって異なるため,イベントヒストリー分析(離散時間ロジットモデル)を用いて分析した.分析の結果,男性ではより高いレベルの高等教育機関に進学する傾向がみられるのに対して,女性では同等か,低いレベルの高等教育機関に進学する傾向がみられることが明らかになった. (2)追加的学歴に関するインターネット調査の実施: 既存の大規模調査データでは,追加的学歴を形成するサンプル数が少ないため,詳細な特徴を十分にとらえることはできない.そこで,追加的学歴に関するインターネット調査を実施した.この調査を実施するにあたり,事前にモニターの特性から追加的学歴をもつ者を対象とした調査が可能であることを確認した.そして,追加的学歴の分析は日本ではほとんど行われていないことから,探索的な分析を行うことを目的に,追加的学歴の理由やその後のキャリアとの連続性についての自由記述項目を多くもうけた.調査の実施後,テキスト分析による分析を可能とするためのデータのクリーニングを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は当初の予定通り,(1)大規模調査の二次利用による追加的学歴の分析,および,(2)追加的学歴に関するインターネット調査の実施を行うことができた.(1)の研究成果は「2015年社会階層と社会移動調査研究会」にて報告しており,現在は論文として執筆中である.これと関連して職業キャリアに関係する学会報告を2件行い,こちらも書籍として執筆中である.また,(2)についても順調に調査を終え,平成28年度以降に行う分析の準備をすることができた.その他,平成27年度は,昨年度までに行った海外志向に関する研究成果が書籍の一部として出版され,職業キャリアに関する研究成果が書籍の一部として2件出版された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,平成27年度に実施した追加的学歴に関するインターネット調査の分析を中心に行う.まずは現在,学歴や職歴に関する質問項目のクリーニングが進んでいるが,それらを終わらせる.その後,テキスト分析を行い,追加的学歴の実態を明らかにする.これらの研究成果について,学会報告および論文投稿を行う予定である.さらに,研究成果を社会還元するために,一般の参加者も募るワークショップなどを企画している.
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Causes of Carryover |
インターネット調査のために予算を確保していたが,調査実施の時期と調査会社による調査費用の割引時期とが重なり,当初の予定よりも低予算となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査データのクリーニングを行うためのアルバイトの予算に充てる.
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Research Products
(7 results)