2016 Fiscal Year Annual Research Report
Gender Roles in Television Commercials in Asia
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26780280
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
ポンサピタックサンテ ピヤ 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (60555481)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テレビ広告 / アジア / ジェンダー役割 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
「アジアのテレビ広告におけるジェンダー役割の国際比較研究」と題した本研究は、アジア諸社会の広告に現れるジェンダー役割の内容分析を中心とした国際比較を通じて、社会と広告の相互関係の解明をめざすものである。最大の研究目的は、異なった文化的・歴史的背景をもつアジア諸社会において、いかに広告におけるジェンダー役割が社会状況やその変化を反映しているかを明らかにすることである。具体的には、アジア6ヵ国(日本・中国・韓国・台湾・シンガポール・タイ)の広告において、ジェンダー役割、特に労働場面でのジェンダー役割がいかに現れているか、その類似点と相違点を考察することである。本研究の最終目標は、こうした課題を通して〈アジア広告の社会学〉という新たな研究分野を創設することである。 2014年から2016年までのこれらの6カ国の広告の国際比較の分析結果から、ジェンダー役割と職業・職種との関係性を中心に、国ごとに以下の結果が明らかになった。①ジェンダー役割の平等(シンガポール)、②職種の平等および職業に従事する以外の役割の平等(日本)、③職種の平等(中国・タイ)、④職業に従事する以外の役割の平等(韓国)に4つに分けられる。以上のように本研究では、これまでの広告研究におけるジェンダー役割に関する知見とは異なり、アジアの広告におけるジェンダー役割の平等性や新しい非性ステレオタイプ(ジェンダー・フリーな役割観)が誕生していることが明らかになった。他方で、今後の課題としては、こうした変化の中で、将来的にみてアジアのテレビ広告におけるジェンダー・イメージはどのように変わっていくか、とくに、アジアの広告に現れる性的なステレオタイプがいかに変容(増減)していくかに注目にすることの重要性が明らかになった。さらに一般的なジェンダー役割のみならず、アジアのテレビ広告における家族像という新たな研究課題の可能性も提示された。
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