2015 Fiscal Year Research-status Report
原発・失業・犯罪リスク不安の社会的形成要因と社会的帰結にかんする実証研究
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26780295
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
阪口 祐介 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (50589190)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 計量テキスト分析 / パネルデータ / 脱原発世論 / リスク社会論 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は国際比較も視野に入れながら、現代日本におけるリスク不安の社会的形成要因とその社会的帰結について実証的に明らかにしようとするものである。平成27年度は、原発リスク意識にかんして、昨年度の研究をさらに発展させて、成果としてまとめた。原発リスク意識の社会的形成要因および社会的帰結を計量テキスト分析、多変量解析によって明らかにした。具体的には、社会階層・ジェンダー・世代という社会的形成要因が、平等主義や国家主義といった価値を媒介して、脱原発志向に影響を与えているというモデルを想定し、分析を行った。また、主観的な側面だけではなく、原発事故の実態的被害にかんする調査も同時に進めている。これらについては3本の論文、4つの学会報告としてまとめている。 失業リスクについては、昨年度は、国際比較から日本社会の特徴を明らかにした。その成果をまとめた英語論文が刊行された。また、平成27年度は、日本におけるパネル調査データを用いて、失業リスク認知がいかなる影響を与えるかについて探究している。具体的には、固定効果モデルを用いて、失業リスク認知が仕事満足度、生活満足度、ディストレス、主観的健康、階層帰属意識、社会的・文化的活動、結婚、政治意識にどのような影響を与えるかを分析している。 さいごに、これまで申請者がすでに研究としてまとめた犯罪リスク不安の研究も加えて、原発、失業、犯罪など様々なリスク不安の社会的形成要因について比較分析を行っている。既存のリスク社会論の検討も行いながら、現代日本における人々のリスク意識の特徴を描き出す作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原発リスク意識については3本の論文、4つの学会報告として成果を出した。失業リスクについては英語論文としてまとめた。また、失業リスク意識については、パネルデータの分析により、より詳細なメカニズムを明らかにする研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
原発リスクおよび失業リスクについてはすでに一定の研究成果が得られた。今後は、犯罪、失業、原発など様々なリスク不安の規定メカニズムをより詳細に検討するため、研究成果の比較分析、リスク社会論の検討を行う。また新たな社会調査を実施することも検討している。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、統計データの解析、研究成果のまとめを主に行った。すでに平成26年度に統計ソフトや個別のリスクにかんする文献は購入しており、使用するデータもすべて2次分析であったため、使用額は計画より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既存の研究成果を比較分析し、整理する際に必要なリスク社会論の文献を購入する予定である。また、新たに検証すべき仮説が複数あらわれたため、自由回答項目も含めたインターネット調査を実施することも検討している。
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Research Products
(9 results)