2014 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者を支える家族の介護負担感が患者に及ぼす影響に関する縦断的研究
Project/Area Number |
26780306
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小山 明日香 熊本大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (50710670)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 認知症 / 介護負担 / 希死念慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、1)認知症患者の家族介護者の介護負担感と患者の希死念慮との関連の検討、2)家族介護者の心理的負担感の検討、を実施した。 1)に関して、認知症専門外来を受診した患者と家族(634組)を対象に分析を行った。その結果、患者の10.1%に希死念慮が認められ、希死念慮のある患者では認知症の行動・心理症状(BPSD)の頻度・重症度が高かった。認知症の原因疾患や重症度と希死念慮には関連はみられず、様々な状態の認知症患者に希死念慮がみられた。希死念慮のある患者の家族は、BPSD症状の影響を除外したうえでも介護負担感が強く、希死念慮のある患者の介護は心理的ストレスが高いことが考えられた。本結果は、国内学会で発表を行うと同時に、海外誌に投稿し、受理された。 2)に関して、主に若年発症の認知症患者の家族を対象とした心理教育グループ参加者の意見を集約した結果、介護そのものによる負担やストレス以外に、患者の親戚にも認知症であることを伝えられない、介護が負担であることを周囲に言えない、社会資源を利用するのに躊躇いがある、などの理由で介護を抱え込んでいることが明らかになった。頼れる子どもが近くに住んでおらず配偶者のみが介護を抱え込んでいるケースも多く、少子高齢化、核家族化といった世相を反映した問題であると考えられる。 また、介護負担感に関する縦断的研究のための縦断データの蓄積を行い、27年度以降に研究がスムーズに実施できるよう準備を整えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である26年度は、本研究課題のメインである認知症患者家族の介護負担感が患者に及ぼす縦断的検討を実施するためのデータ蓄積を行い27年度以降の研究につなげることができただけでなく、家族の心理的負担感について量的および質的に検討を行い、学会および海外雑誌に報告することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き縦断的データの収集を行うと同時に、認知症の原因疾患(アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭葉変性症など)や発症時期別の認知症の介護負担感を横断的に検討し、それぞれの疾患や状態の介護に関する課題と必要な支援を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
学会旅費にかかる費用が予定より少なかったなどの理由で次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的に27年度分の研究計画に基づき予算を執行する予定であるが、次年度使用額に関しては成果報告の充実のための予算の補充に使用する計画である。
|
Research Products
(14 results)