2015 Fiscal Year Research-status Report
介護福祉士の認知症ケア技能向上プログラム作成とキャリアアップ支援システムへの応用
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26780311
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 ゆかり 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20551815)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 介護福祉士 / 認知症ケア / 技能向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
介護福祉士における認知症ケア実践の実態とケア技能向上の取り組みの実態を把握するため、A県内の認知症対応型共同生活介護事業所全数340か所の介護福祉士2名ずつを対象に、郵送法による無記名自記式調査を実施した。なお、本調査は岡山県立大学倫理委員会の承認を受け実施した。440名から回答が得られ、集計対象は、女性が82.3%であり、 平均年齢は47.6歳であった。 認知症ケア実践について、認知症ケアのテキスト等に記載されている認知症ケアの原則からアイテムプールし、主体性の尊重、自己決定の尊重、生活の継続性の保持、自由の保持、安全の保持、権利侵害の排除、社会的交流、プライバシーの尊重、個別対応、環境の急激な変化の忌避、能力に注目、生きる意欲を引き出す、希望の再発見、自立支援、尊厳の保持、身体的に良好な状態の維持、合併症の予防の暫定17項目を用い、中程度認知症者への実践について、「いつも実践している:3点」~「あまり実践していない0点」の4件法により実態を把握した。その結果、実践頻度が高かった項目は、高い順に、安全の保持、尊厳の保持、身体的に良好な状態の維持であった。実践頻度が低かった項目は、低い順に社会的交流、自立支援、生きる意欲を見出すであった。いずれの項目も、「あまり実践していない」と回答した者は10%未満であり、原則に沿ったケアが実践されていることが把握された。 職場内での研修体制について、研修組織があると回答した者、新人教育が行われていると回答した者は7割を超えた一方、計画的なOn the Job Training(計画書を作成するなどして、段階的・継続的に日常の業務につきながら行う教育訓練)が実施されていると回答した者は4割に留まった。認知症ケア技能向上の取り組みについて、さらに詳細に検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度研究実施計画に記載している通り、介護福祉士における認知症ケア技能の実態調査を行った。平成28年度は、異なるサンプルを抽出し調査を実施する予定であり、当初の計画からさらに充実した検討が行える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、介護福祉士における認知症ケア技能の概要と研修受講の実態が把握された。今後は、研修受講履歴と、認知症ケアに関する理解の程度、実践の程度について関連を検討する。また、研修希望の関連要因を探索し、介護福祉士の有する特性に見合った研修プログラムを立案するための基礎資料を得る。
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Causes of Carryover |
申請当初、アンケート調査を1回実施する予定であったが、研究過程で調査を2回に分けて実施する方が、より適切なデータが得られる見込みとなった。そのため、2回目の調査実施の費用として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
介護福祉士における認知症ケア技能の実態および技能形成過程をより詳細に把握するためのアンケート調査を実施する。
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