2014 Fiscal Year Research-status Report
「自立困難層」のホームレスに対する社会的包括に向けた支援のあり方に関する研究
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26780323
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
後藤 広史 日本大学, 文理学部, 准教授 (60553782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホームレス / 自立支援センター / 再利用 / 社会的排除 / 社会的包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「自立困難層」のホームレスの実態と要因を包括的に明らかにし、それをふまえて彼らの社会的包摂に向けた支援のあり方を検討することを目的としている。この目的を達成するために、本研究では、ホームレス自立支援センターの「再利用者」に着目することとした。 初年度は、研究枠組み構築のための先行研究の渉猟と併せて、全国の自立支援センターへのアンケート調査および職員へのインタビュー調査を計画し、実施した。 前者については施設の「再利用者」に関する統計資料を収集することができた。また、その作業を通して「再利用者」に関して踏み込んだ検討を行った研究が行われていないことが明らかになり、本研究が探索型の研究に位置付くことが改めて確認できた。 後者については、各自治体・センターと調整した結果、全国14の自立支援センターにアンケート調査を、これに2つの行政機関を加えた16のセンター・機関にインタビュー調査を実施することができた。 その結果、自立支援センターの再利用のルールが統一されていないこと、そのことも反映して「再利用者」の割合は各センターでかなりのばらつきがあることが明らかになった。また再利用に影響を与える変数として、自立支援センターのそれぞれの地域における位置付け、地域ごとのホームレス状態にある人々の属性などが見いだされた。さらにインタビュー調査からは、自立支援センター(のスタッフ)によって再利用者に対する認識が異なることも明らかになった。具体的には、「再利用者」を自立の意識が高い層とみなしているセンター(スタッフ)もあれば、自立する意欲を喪失してしまった人々とみなしているセンター(スタッフ)あった。こうした認識の差異は、再利用に関するルールの評価や具体的な支援アプローチにも影響を与えていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、当該年度に予定していた研究計画通りに研究を遂行することができた(調査で得られたデータについては単純集計を行い、協力いただいた各機関に送付済みである)。またその過程で、複数の施設から、今後の当事者へのインタビュー調査の協力の確約、支援データの提供を得ることが出来た。 しかしながら、上記のように計画通りデータを収集することはできたものの、分析が間に合わなかったために、当初予定していた学会発表を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られているデータを分析し、学会発表および論文投稿を行うことが当面の課題である。また調査の過程で、当事者へのインタビュー調査は、個人情報の関係から当初予定していた以上に実施が難しいことも明らかになった。加えて2015年4月から「生活困窮者自立支援法」の施行され、ホームレス自立支援センターの法的位置づけが変わり、支援の仕組みも変化することになっている。こうした制約や外部環境の変化に合わせて、研究計画を練り直していく作業が必要である。具体的な方策としては、当初のインタビュー予定者であった、現に自立支援センターに再入所している利用者ではなく、再利用を経て現在ホームレス状態から脱却した人々にインタビュー対象を切り替えていくこと、自立支援センター以外の施設を調査対象とすることなどが考えられる。各センターと調整をしながら、調査対象について再度検討していきたい。
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Causes of Carryover |
当初全国の自立支援センターへの調査を予定していたが、先方の都合により断念せざるを得ないセンターがあったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の調査を遂行する中で、本研究に関心を示してくれた調査先がいくつかあり、本年度はそちらに複数回調査に出かける予定である。昨年度繰り越した額をこの費用に充てる予定である。
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