2016 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment and developmental process of community works by parents of people with developmental disabilities
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26780333
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
通山 久仁子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教 (60389492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会福祉関係 / 発達障害 / 親当事者 / 地域福祉活動 / 主体形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、発達障害のある人の「親当事者」が行う地域福祉活動の生成・展開過程、および地域福祉活動主体としての「親当事者」への変容過程とその意義について、11団体へのインタビュー調査の分析を通して進めた。 団体の設立経緯としては、親の会の延長から展開した団体と、リーダー個人による起業型の団体があった。親の会から展開した9団体のうち、セルフヘルプの活動が中心であったのは2団体であり、6団体は障害福祉サービス事業所、1団体はフリースクールの委託を受け、事業体としての活動を展開していた。団体の生成・展開過程を「親当事者」団体の発展過程の枠組み(通山久仁子(2015)「障害のある人の『親当事者』による地域福祉活動の生成・展開過程」『西南女学院大学紀要Vol.19』)により分析した結果、各団体は親自身の家庭環境やライフステージの影響を受けて展開していた。また多様なニーズへの対応として事業が複合化していく団体と、独自事業が障害福祉サービス事業へ収斂されていく団体があった。後者の場合、会員等が定着し団体の新陳代謝が行われづらくなる傾向があった。したがって委託を受けつつも、新たなニーズへの対応として事業を複合的に実施していくことが、団体の持続可能性に関わる要素となると考えられた。 リーダーのライフストーリーの分析からは、団体の活動開始以前にすでに主体化されリーダー性を獲得していく段階があり、さらに団体での活動を通して、わが子だけではなく多様なニーズへの気づきなど地域福祉活動を展開する主体として、「親当事者」性が深化していく過程があることが明らかとなった。またリーダーはフォロアー層へ「親当事者」のロールモデルを示す役割を担っていた。さらに親が地域福祉活動に従事する意義として、自身の経験を他者へと還元する経験を通じて、自身の子育てや自己に対する肯定感を育むことができるということが見出された。
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