2015 Fiscal Year Research-status Report
自己コントロールをトレーニングする:制御資源使用の効率化に関する検討
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26780347
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
尾崎 由佳 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50459434)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活における自己コントロールの実態について調査するために、「やりたくないけれども、やらなくてはならない(接近的コントロール)」あるいは「やりたいけれども、やってはいけない(回避的コントロール)」という各種のエピソードが、どのような頻度・状況・経緯で生じているのかについて、スマートフォンを通じたインターネットアンケートを通じて毎日6回ずつ7日間にかけて報告を求めて調査した。その結果、接近的・回避的コントロールの両者がほぼ同頻度で経験されていることが明らかになった。いずれも欲望の強さはほぼ同程度であるにもかかわらず、後者の方が自制に成功する割合が高いことから、異なるメカニズムによって制御されている可能性が示唆された。 日常生活における自己コントロール・トレーニングの効果を検証するための実験を行った。実験参加者は、衝動性を抑制する課題数種類(ストループ課題、鏡映描写課題、非利き手描写課題)のうちひとつを割り当てられ、その課題を毎日2回ずつ2週間にわたり実行した。その前後で自己コントロールの指標を測定したところ、衝動抑制の程度を測定するストップシグナル課題において成績向上が見られた。トレーニングを実施しなかった統制群においてはこの向上が見られなかった。これらの結果から、本実験において使用されたトレーニング方法の有効性を示唆する成果が得られたと考えられる。ただし、トレーニングがどのようにして自己コントロールを向上させるのかというメカニズムに関しては不明であることから、今後その解明を進めることが望ましい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時に予定していた調査・実験のスケジュールにおおむね従って実行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度も引き続き自己コントロール・トレーニングの効果を検証するための実験を実施する。トレーニングがどのようにして自己コントロールを向上させるのかというメカニズムに関して明らかにするための実験計画を実行に移す。
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Causes of Carryover |
800円の次年度使用額が発生したのは、少額であったため、これを無理に使い切るよりは翌年度分と併せて有効に活用すべきと判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分と併せて、実験実施のための謝金の一部に充てる。
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Research Products
(7 results)