2016 Fiscal Year Research-status Report
自己コントロールをトレーニングする:制御資源使用の効率化に関する検討
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26780347
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
尾崎 由佳 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50459434)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己制御 / 自己統制 |
Outline of Annual Research Achievements |
自我枯渇とは、自己コントロールを発揮することによって制御資源が使い果たされてしまい、その直後にはコントロール能力が低下するという現象のことを指す。当該年度の研究では、制御資源の枯渇を防ぐための有効なトレーニングのしかたを開発することを目指した。自己コントロール・トレーニングに関する先行研究では、実験操作の統制が厳密になされていないという問題点が見受けられたため、その点を改善した手続きを用いた。具体的には、文字色を回答させるストループ課題を用いて、同一の課題手続きでありながら衝動抑制の負荷がかかる課題(色・文字が不一致)と、抑制負荷のかからない課題(色・文字が一致)を用意し、それら2種類の課題に繰り返し取り組むことによるトレーニング効果を検証する実験を実施した。97名の実験参加者を3つの条件にランダムに割り当て、①ストループ課題において色・文字が不一致な試行を繰り返すトレーニングを2週間行う条件(実験群:負荷あり課題)、②色・文字が一致している試行を繰り返すトレーニングを2週間行う条件(統制群:負荷なし課題)、③何もトレーニングを行わない群(統制群:課題なし)を設けた。各群について、制御資源枯渇時の自己コントロールのレベルを認知課題および自己評定尺度によって測定し、トレーニング期間の前後の変化を検証した。仮説としては、実験群のみにおいて向上が見られ、統制群2種類については変化がみられないという予測であった。しかし、結果としては、いずれの群についても変化は見られず、トレーニング効果を確認することはできなかった。トレーニングの内容や負荷量について見直した上で手続きを改善し、今後、再び検証を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度中にトレーニングの効果を確認する予定であったが、効果を示唆する結果を得ることができなかった。この問題については翌年度に繰り越して検証する必要があり、そのために計画よりも遅れて進行することが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度中に実施した実験ではトレーニングの効果が確認できなかったため、手続きなどを見直し、改善を加えた上で、再度の検証を試みる。効果を示唆する結果が得られた場合には、その神経基盤に関する検証に進む。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会発表を諸事情のためキャンセルせざるを得ず、その分の旅費が使用されたなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会における研究発表のための大会参加費(約5万円)および旅費(約20万円)として使用する予定である。
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