2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780359
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Research Institution | Sakushin Gakuin University Women's College |
Principal Investigator |
小栗 貴弘 作新学院大学女子短期大学部, その他部局等, 講師 (10635379)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高校中退 / 高校中退リスク評価尺度 / 信頼性 / 妥当性 / 縦断的研究 / ソーシャルスキルトレーニング / 普遍的予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高校中退における予防プログラムの開発を目的としている。具体的には,中退高リスク群をスクリーニングする尺度の作成と,介入プログラムの作成である。 スクリーニング尺度の開発では,まず先行研究を参考に47項目を採集し,全日制高校・定時制高校・通信制サポート校の生徒を対象に2回に渡る質問紙調査を実施した。次に,各校の教員から生徒の翌年3月時点の登校状況(進級,不登校,中退)について回答を求めた。項目分析と因子分析の結果,7因子33項目で構成される尺度を作成し,「高校中退リスク評価尺度」(RAS-HD)と命名した。そして,内的整合性と再検査法による信頼性の検討の結果,本尺度は高い信頼性を有していることが確認された。さらに,予後を独立変数とした分散分析による弁別的妥当性,中退リスクと予後のカイ二乗検定による予測的妥当性,性差・学年差・校種差による構成概念妥当性について検討した結果,本尺度は高い妥当性を有していることが確認された。 介入プログラムの開発では,定時制高校1年生の生徒を対象として,計6回に渡るソーシャルスキルトレーニングを実施し,その効果評価を行なった。ソーシャルスキルトレーニングは,本研究の目指す包括的中退予防プログラムの「普遍的予防」に該当するプログラムの一つである。プログラム実施校の教員に生徒の様子について聞き取りを行なった上で,当該校の生徒にとってニーズが高いと考えられるスキルを選定し,プログラムを構築した。ソーシャルスキルトレーニングの実施は応募者が行ない,当該校の教員が複数名ティームティーチングで参加した。毎回ワークシートを用いた演習を行ない,スキルの定着を目指した。プログラムの事前事後で生徒に実施した質問紙調査の量的分析,および生徒が作成したワークシートの質的分析から,本プログラムの効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,本年度中に「高校中退リスク評価尺度」を作成し,ソーシャルスキルトレーニングの基礎的な実践研究を行なった。 次年度は,ソーシャルスキルトレーニング(普遍的予防)だけでなく,本年度に作成した「高校中退リスク評価尺度」を用いた選択的予防や特定的予防の実践研究を行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の高校で「普遍的予防」「選択的予防」「特定的予防」を実践し,その効果評価を行なう。 「普遍的予防」であるソーシャルスキルトレーニングの開発では,次年度は応募者ではなく,当該高校の担任がプログラムを実施し,同様の効果が得られるかを検討することで,プログラムの一般化を目指す。 「選択的予防」にあたる「中退の高リスク群への早期介入」については,開発した尺度を利用して,当該高校の教員が支援を行なう。質問紙調査の結果に基づきながら,どのような結果の生徒に対し,どのような支援が効果的であったかを考察することで,介入方法を洗練させていく予定である。 「特定的予防」については,より手厚い支援が必要となるため,高校で実行可能なチーム支援の在り方や外部機関との連携の方法について,事例を通した考察を行なう予定である。
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Research Products
(4 results)