2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780363
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| Research Institution | Tokyo Future University |
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Principal Investigator |
小林 寛子 東京未来大学, モチベーション行動科学部, 助教 (40722210)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 説明活動 / 概念変化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，概念変化に有効な説明活動のあり方について，有効となるメカニズムを明らかにしながら，検討することを目的としている。特に，平成26年度は，概念を変化させるきっかけとなる「予めもっていた誤概念では自然現象を上手く説明できないという不満を抱くプロセス」に焦点を当てた。そして，学習者に誤概念のどこがどのように間違っているのかを説明させるというタイプの説明活動が有効であるかについて検討を行った。
誤概念を説明する有効性については，「ある」とする知見（e.g., 市川, 1998）と「ない」とする知見（e.g., Siegler, 1995）があり，その矛盾は誤概念が間違いであると判断するための学習材料の有無に起因する可能性が考えられた。そこで，平成26年度の研究では，割合の第三用法の文章題解決において誤った考えを持つ大学生を対象者とし，誤答を提示して誤答である理由の説明を求める群と，正答を提示して正答である理由の説明を求める群に分け，各群の作成する説明は，割合の第三用法の文章題を解説するテキストを読む前後でどのように変化するのか，また，割合に関する理解はどのように進むのかを検討した。
まず，生成された説明を評価し，その評価点について，群×時期の，時期を対象者内要因とする二要因混合計画分散分析を実施したところ，交互作用が見られた。具体的には，誤答に対して説明を求めた群では，誤答と判断する根拠となる学習材料を読む前には適切な説明を生成できなかったが，学習材料を読んだ後にはより適切な説明が生成できるようになったことが示唆された。また，割合に関する理解を測定するテスト成績について，同様の分析を行ったところ，群の主効果が見られ，誤答のもととなっていた理解の不十分さは，誤答に対して説明を求めた群で，正答に対して説明を求めた群よりも，修正されやすいことが示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は，概念変化に有効な説明活動のあり方について，有効となるメカニズムを明らかにしながら，検討することを目的としている。概念変化については，Posner, Strike, Hewson, & Gertzog (1982) が，学習者が予めもっている誤概念では自然現象をうまく説明できないという不満を抱くこと，その上で，新しく導入される概念は不満を解消するに足ると感じられることの2段階が重要であると説明している。これを踏まえ，平成26年度の研究では，「予めもっている誤概念では自然現象を上手く説明できないという不満を抱く」段階に焦点をあて，有効な説明活動のあり方を検討することを目的としていた。
説明活動に関するこれまでの研究では，研究によって何をどう説明する活動を扱うのかがさまざまである。その中から，平成26年度は，「予めもっている誤概念では自然現象を上手く説明できないという不満を抱く」段階を通過するために，「学習者に誤概念のどこがどのように間違っているのかを説明させる」というタイプの説明活動を取り上げた。その有効性について，これまでの研究をレビューした上で，有効となるには「誤概念が間違いであると判断するための学習材料があること」が必要である可能性を見出し，実験によって検証を行った。研究結果は，平成27年度の教育心理学会総会で発表予定である。以上のことから，平成26年度の目標はおおむね達成されたと考える。
また，平成27年度には，最適な説明活動を組み込んだ授業プランの開発を行いたいと考え，平成26年度から，連携校を探し，具体的にどのような授業をどのような日程で行えるか，効果測定はどうするかといった話し合いを進めてきた。平成27年度に向けても，研究は順調に進展していると判断できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は，概念変化プロセスにおける2段階，「1. 学習者が予めもっている誤概念では自然現象をうまく説明できないという不満を抱く」，「2. 新しく導入される概念は不満を解消するに足ると感じられる」のうち，後者に焦点を当てる。新しく導入される概念に対する満足感は，その概念が学習者の知識構造にうまく取り入れられることによって生じると考える。そこで，学習者の中に新しい概念を取り入れた知識の構築が促されるために，学習者に教授された新しい概念を自分の言葉で説明し直すというタイプの説明活動を行わせ，それが有効であるかについて実証的に検討する。実証の過程では，学習者の知識を表現する手段として考案された概念地図法やプライミング技法を用いたい。具体的には，教授された新しい概念を自分の言葉で説明し直す群と，そうでない統制群とで，知識構造が異なるかを，各群の参加者が描いた概念地図や，正しい概念に関わる一つの情報を提示したときに連想されやすい情報についてのデータから検討していきたいと考えている。
以上のような実験研究に加え，概念変化の段階ごとに最適な説明活動を組み込んだ授業プランの開発も進めていきたい。授業の核となる説明活動のあり方はこれまでの研究成果からある程度定まっているが，それを，具体的にどのような授業内容で，どのような年齢の学習者を対象に，どのような足場作りのもとで行うのかを考えていく。そうして提案した授業の効果検証までを行っていきたい。効果の指標となるのは，学習者の授業中の発話やノートへの書き込み，授業前後に行う授業内容の理解度テスト成績などである。平成26年度中に連携していただける小学校を見つけることができたので，その学校の先生方と共同で研究を進めていく予定である。
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| Causes of Carryover |
人件費（実験補助・資料整理を担当予定であった）があまりかからなかったことが主な理由である。実験の実施や資料整理はおおむね研究者が一人で行った。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には，授業プランの開発と効果検証が始まる。授業記録を残す手段としてデジタルビデオカメラを購入するために，次年度使用額を用いる予定である。
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