2014 Fiscal Year Research-status Report
青年中後期における他者軽視の発達的意義とその脱却の諸条件
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26780366
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
小平 英志 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (00442228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 他者軽視 / 縦断調査 / パーソナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
他者軽視傾向が青年期中後期の段階的社会参加に及ぼす影響について、縦断調査による検討を行うことが本課題の目的であった。2014年度では、縦断調査のTime 1調査である研究2-1、及び成人期を対象とした面接調査からなる研究1の実施を予定していた。 まず研究2-1については、縦断研究のデザイン及び質問票のレイアウト等をほぼ固め、Time 1調査(他者軽視尺度、自尊感情尺度、ビッグファイブ理論に基づくパーソナリティ特性の測定尺度からなる調査用紙を作成・実施)を予定通り実施した。調査への同意・協力が得られたのは大学生281名であった。Time 1調査に含めていたパーソナリティ指標に注目し、他者軽視傾向との関連について解析を行ったところ、先行研究と同様の結果が得られ、加えて、統制性のパーソナリティ次元において男女差が確認された。すなわち、男性では負の相関関係が見られるのに対し、女性では正の相関関係が見られ、他者軽視の傾向の背後には男女で異なるパーソナリティが存在することが示唆された。得られた知見に関して現在、論文を執筆中である。また、Time 1データの他の観点からの分析については2015年度の日本心理学会で発表を行う予定である。 研究1として予定していた、成人期を対象とした青年期の強がりに関する調査は、質問内容についての吟味を進め、一部予備面接調査を実施した。予備面接では、大学生時代に「強がっていた」という実感のある対象者が多いこと、その中に他者軽視に関する言及が含まれていたこと、それらのエピソードが言語的に収集可能であること等が確認できた。今後、本面接を通して詳細を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた調査を実施し、成果発表の準備も着実に進めていることから、概ね順調に進められていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度以降は予定通りTime 2以降の調査を実施する。Time 2以降の調査では、他者軽視尺度、自尊感情尺度に加えて、サークル・ボランティア・アルバイト等へのコミットメントの程度や満足度を問う質問、就職への自己効力感や具体的な活動に関する質問からなる質問紙を作成し、縦断的に調査を実施していく。定期的な調査の実施に加え、2時点、3時点、4時点での解析をそれぞれの年度で進めていく。最終年度に実施予定のTime 4調査では、郵送法による調査実施を予定しており、できる限り回収率を高める工夫(依頼文の文面の工夫や返送確認のはがきを送る等)を行う。また、研究1の本面接を2015年度を目途に終え、テキストマイニング等の解析を進めていく予定である。研究成果については順次、学会報告(主に日本心理学会、教育心理学会を予定)、論文投稿(パーソナリティ研究を予定)を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究1の面接の実施について、面接補助のためにアルバイトを雇う予定であったが、実際には研究者だけで面接を行うことができたため、主にその費用が繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、仮想的有能感・青年心理学に関わる書籍・資料の購入、調査用紙作成のためのプリンタトナー、印刷用紙、国内学会の発表費用・旅費、データ整理のための文具と人件費などに研究費を使用する。繰り越し分については、研究1についてより広い年齢層の対象者から回答を求めるべく、データ収集会社を利用した調査を予定しており、その費用として使用する予定である。
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