2016 Fiscal Year Annual Research Report
青年中後期における他者軽視の発達的意義とその脱却の諸条件
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26780366
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
小平 英志 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (00442228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 他者軽視 / 仮想的有能感 / 部活動 / 自己変容 / 青年期 |
Outline of Annual Research Achievements |
予定していた、第3次縦断データの収集を6月に、成人期初期を対象とした調査を2月に実施した。また、10月には追加調査も実施した。4年計画の縦断調査のうち、3年目までを収集し終えたところであるが(第4次調査と4年間の縦断データの解析は、内定した次の課題内で実施する予定)、これまでに収集したデータを用いて、本年度は、下記の2つの解析を進めた。 第一に、部活・サークル・ボランティア活動に及ぼす他者軽視傾向の影響について、大学生140名(男性62名、女性78名)の2時点の縦断データの解析を行った。大学入学後の他者軽視傾向は、部活等の加入や活動時間に影響しないものの、1年後にかけての変化量については、他者軽視傾向が高まっていた学生ほど、より多くの部活等に所属し、活動する傾向が見られた。新しい環境に移行し、様々な集団へと積極的に参加していく上で、他者軽視がポジティブな方向で影響していることが明らかとなった。これまであまり見出されてこなかった他者軽視傾向の適応的側面の一端が示されたと考えられる(この解析結果については31st International Congress of Psychologyで発表)。 第二に、大学生163名(男性73名、女性90名)のデータをもとに、他者軽視と自己変容の志向性の関連について解析したところ、他者軽視傾向が高い学生ほど、あこがれの存在を目指すような自己変容を望まず、現在の自分の状態から別の状態へと変容すること(一新志向等)をも望まない傾向にあることが示された。他者軽視の強い個人の、徹底して自己評価の低下を予防している様子がうかがえた(この解析結果については、日本青年心理学会第24回大会にて発表)。結果の再現性について、さらに検討を加える必要はあり、現在、10月に実施した追加データの分析も進めている。
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