2015 Fiscal Year Research-status Report
他者の批判を活用する認知基盤と効果的な介入方法の検討
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26780376
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 優子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30701495)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 批判的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は他者の批判を活用するプロセスとその可能性を検証することを目的として,まず,文献研究による考察を実施した。これまでの批判的思考研究の諸問題について,先行研究にもとづき「教育的アプローチの限界」「批判的思考パフォーマンスの個人内変化」「個人主義的バイアス」という3つの観点から論じた。これらの諸問題への対策として,「共助」としての批判的思考という概念を提唱し,他者の批判的思考を活用する意義について議論した。本研究成果の一部は著書(分担執筆)において公表した。次に,他者の批判への接触効果を実証的に検証するために,平成25年度「文部科学省:大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業」で開発した「批判的思考を活用したイノベーション対話プラットフォーム」を用いて収集した実験データの分析を行った。創造的アイデアを生み出すクラウドソーシング手法の一連のプロセスに,批判的思考のみを行うクラウドを組み込んだデザインとそうでないデザインを設定し,最終的に生成されるアイデアの創造性の比較を行った。その結果,他者の批判を組み込むことによって創造性の一側面である実現可能性が向上することが明らかとなった。一方で,生成されるアイデアの文字数や所要時間については両デザインで有意な差が見られなかったことから,批判的思考を行うクラウドを組み込んでも,創造的アイデア生成の流暢性を阻害せずに,実現可能性という質の向上をもたらすことが示された。本研究成果の一部はCognitive Science Societyの国際会議論文に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属先変更にともない当初予定していた実験実施環境に想定外の変化あり実現に支障が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の対策として,引き続き新所属先での実験環境の設定を進めるとともに,既存のプラットフォームで収集したデータを利用ながら本研究課題の目的を遂行する。
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Causes of Carryover |
研究成果公表に関わる海外渡航費が当初予定よりも金額が低くなったために差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額は最終年度の研究実施における物品またはその他の経費として使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Book] "Do Students from Different Cultures Think Differently about Critical and Other Thinking Skills?", Davis, M. and Barnett, R. (Eds.) "The Palgrave Handbook of Critical Thinking in Higher Education"2015
Author(s)
Manalo, E., Kusumi, T., Koyasu, M., Michita, Y., and Tanaka, Y.
Total Pages
636
Publisher
Palgrave Macmillan