2016 Fiscal Year Research-status Report
性的マイノリティのためのメンタルケア技法の開発評価
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26780379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石丸 径一郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 学術研究員 (30435721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小児のLGBT / 認知行動療法 / 性同一性障害 / LGBTと大学生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度には,大きく3種類の研究成果を発表した。 1つ目は,性的マイノリティ/LGBTsと認知行動療法との関連についてのものである。性的マイノリティの心理支援に認知行動療法を活用した研究は,日本国内では皆無であった。英語圏ではいくつかあったものの非常に少ないことがわかった。それらからヒントを得て,性的マイノリティの生活上のストレスに関連したよくある思考の偏りを例示し,認知行動療法を活用するための典型例をいくつか作成した。 2つ目は,性的マイノリティと子どもに関するテーマである。ここ数年で,性同一性障害である児童生徒に対する教育相談についての文科省通知が発出されたり,国内5つの自治体で同性パートナーシップの証明ができるようになったりするなど,LGBTsに関する話題がブームとなりつつある。教育業界においても,LGBTsである児童生徒に関心が向けられるようになった。小学校から高校までの期間において,LGBについてはロールモデルが見つけにくいこと,Tについては性同一性を模索する途上であることをまとめ,自由に役割実験や試行錯誤を行えるように見守ることの重要性を指摘した。 3つ目は,少し年齢が進んだ大学等におけるLGBTsである学生の生活における困り事に関して整理し,大学等でできる環境整備や施策についてまとめた。 その他,性的マイノリティのメンタルケア実践の有効性評価に関連する,良質なエビデンスを得るための研究デザインについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画からは多少の変更があるものの,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
性的マイノリティの心理支援に関する基盤を整えるための測定ツール,認知行動療法を応用するための事例集,さまざまなライフステージにある性的マイノリティの支援のポイントなどについて研究を進め発表していく。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの支出ではあるが,細かい金額については齟齬が出るため,1,560円の剰余が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に物品費として使用する。
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