2014 Fiscal Year Research-status Report
外傷性ストレス体験者の否定的・肯定的な認知や活動に着目した介入の有効性の検証
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26780380
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊藤 大輔 琉球大学, 教育学部, 准教授 (20631089)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外傷性ストレス / PTSD症状 / 生活適応 / プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,外傷性ストレス体験後に生じるPTSD (外傷後ストレス障害)の発症と維持のメカニズムを解明し,効果的な支援方法を明らかにすることを目的とした心理学研究である。具体的には,外傷性ストレス体験者の否定的・肯定的な認知と活動に着目した心理的介入がPTSD症状や生活適応に及ぼす効果について明らかにすることを目的としている。 今年度は,外傷性ストレス体験者に対する心理的介入に関する国内外の文献に基づいてレビューを実施し,認知行動理論に基づいた介入要素が含まれた介入プログラムが主に実施されていることが示された。さらに,文献レビューの結果を参考に,否定的認知や活動の低減と,肯定的な認知と活動の向上という両側面に着目したプログラムを開発した。 その後,予備的研究として,外傷性ストレス体験者の中でも,PTSD症状を高く示している対象者に対して本プログラムを複数回実施した。その結果,介入後にPTSD症状に対する否定的認知が低減し,レジリエンスが向上するなどプログラムの妥当性が示された。さらに,外傷性ストレス体験者のPTSD症状の改善に効果的であることが示され,抑うつ症状に対しても一定の効果が認められた。以上のことから,本プログラムは外傷性ストレス体験者のメンタルヘルスに効果的であることが示唆された。 今後は,本プログラムが外傷性ストレス体験者の生活適応に及ぼす影響や,否定的認知や活動の低減と肯定的な認知と活動の向上という要因の交互作用に関する検証を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献レビューに基づいて介入プログラムが開発されたこと,さらに予備的検討であるものの,その効果検証が一部実施できたため,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本プログラムは外傷性ストレス体験者のメンタルヘルスに効果的であることが示唆された。今後は,本プログラムが外傷性ストレス体験者の生活適応に及ぼす影響や,否定的認知や活動の低減と肯定的な認知と活動の向上という要因の交互作用に関する検証を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
平成26年度に得られたデータ解析の結果,平成27年度以降に調査を実施する必要性が出てきたため,そのための経費として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の調査を実施のために,調査用紙作成のために使用することとする。
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[Presentation] The influence of cognition and coping with trauma and symptoms on posttraumatic stress following trauma without the experience of thratened death.2014
Author(s)
Ito, D., Koseki, S., Koseki, M., Sasaki, M., Suyama, H., Ogawa, Y., Takei, Y., & Suzuki, S.
Organizer
28th International Congress of Applied Psychology
Place of Presentation
Paris, France
Year and Date
2014-07-08 – 2014-07-13