2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780382
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
佐渡 忠洋 常葉大学, 健康プロデュース学部, 講師 (60510576)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バウムテスト / 研究知見 / 解釈理論 / 時代の影響 / ゆらぎ / 幹先端処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、バウムテストのこれまでの調査研究・文献研究から導き出された以下4つの現代的問題を解決し、バウムテスト理論を洗練させ、実践者へ信頼に足る知見を提供することである。本研究で仮定された現代的問題とは、①昔の知見が現在どれほど活用可能であるか検証されていない点、②実践的な子ども理解に寄与する報告が少ない点、③多くの解釈仮説が複雑な要因をあまりに排除しており、バウム表現を一線形的に理解している点、④指標の解釈仮説が確立されておらず、その批判的な検証も少ない点、である。上記の課題解決は、今後の実践・研究に大変有意義である。 平成26年度の実績は次の通りである。 問題①:1967年に山中康裕博士が収集した中学生のバウムと、2010-12年に本研究者が収集した中学生のバウムを比較検討した。その結果、1)Kochの早期型に関しては今昔でほとんど差はなく、2)昔に比べて今の中学生は枝を描かない者が大変多く、3)幹先端処理では昔よりも今の中学生で「冠型」が増えて「放散型」と「基本型」が減り、4)「上縁はみ出し」は昔よりも今の中学生で著しく減少したことが示された。 問題②:現在、手許にあるデータを分析中である。 問題③:さまざまな条件で実施した10種類の調査データを分析し、「幹」「根」「枝」「樹冠」「用紙の配置」「全体」のカテゴリーごとに、バウムそのものが持つ可変性・不可変性の特徴を導き出した。この結果は、従来の知見をどのような形で臨床場面に応用するかということ以上に、臨床家がバウムというイメージ主題をどのように抱えておくか、という点で寄与すると考えられた。 問題④:幹先端処理という着眼点に焦点を当て、2つの学会発表を行った。その内容は、1)幹先端処理がどれほどの可変性を有するか、2)幹先端処理と夢を見る頻度との関連、である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は研究に時間を用いることが十分できた。そのため、順調に研究は進んでいる。しかし、研究の展開とともに、新しく認められた問題・課題がある。より良い研究知見を発信するためには、それらの課題にも取り組み必要があると考えた。現在までの進捗状況から、【研究実績の概要】で記した①~④以外の、新しい研究課題に着手することは可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、得られた知見の発表に力を注ぎたい。外国語論文として知見を広く提示することも課題になるだろう。また、平成26年度の研究過程で認められたいくつかの課題にも新しく取り組む予定である。
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