2015 Fiscal Year Research-status Report
3歳児健診におけるADHD傾向把握のための行動指標パッケージの開発
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26780384
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中島 俊思 佐賀大学, 学生支援室, 講師 (90568495)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ADHD / 早期支援 / 乳幼児健診 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
時間的・人員的にも限度がある地域の乳幼児健診会場で、現場保健師も簡便に導入することが可能な ADHD 傾向把握のための評価スケールを Feil(1995)のものに準じて開発した。Feil(1995)が開発したスケール(社会的行動コーディングシステム)は保育園・幼稚園用であり、また、観察場面は長時間を設定しなければならない。評価手続きも煩雑である。そこで、より短時間で集団課題場面に限定した手続きを工夫したものを作成した。具体的には、下記のように改変した。〈課題場面〉:親子 8~10 組程度を1グループ。10~15 分の実施時間を想定。〈課題内容〉:健診用に課題を新規設定。①手遊び等の小運動模倣課題, ②リトミック等の大運動模倣課題、③ 絵本読み、④ 挨拶・名前呼びへのなど社会性課題。 〈行動評定コード〉: 肯定的行動・否定的行動・活動の変化、の3つの行動を評定 ①課題の遂行・注目の維持などの“肯定的行動”、②逸脱・かんしゃく・消極的関与(引っ込み思案)などの“否定的行動”、③関心の移ろい・よそ見など“活動の変化”の視点を取り入れたものを作成した。すでに東海地区X市にといて、2015年4月から2016年3月において、3歳児健診に参加したおよそ1000名分の集団観察評定にかんするデータを収集を完了している。また、保健師による集団課題場面の行動評定に加えて、家庭場面におけるADHD傾向を保護者による行動評定をSDQ幼児版(Goodman2010)の下位尺度である多動不注意傾向の5項目を母親回答式のスクリーニングツールとして導入している。保護者評定に関しても1000名分のデータ収集を完了している。2つデータは個別IDを元にマッチングが可能で、2視点の同時併用は、評定スケールの妥当性を検証するうえでも有効であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ADHD傾向にかんする行動評価パッケージのパイロット版の乳幼児健診時の導入は完了している。担当保健師との間でパイロット版の修正を2015年3月までに行い、2015年4月からはより洗練化されたものを採用している。2015年度健診参加児、すなわち2012年度生まれの1000名分、集団課題場面で約100セッション分のデータを収集済みである。3歳児健診での評定パッケージの妥当性をみるための、公立保育園入園後の適応行動把握のためのツール導入もおおむねすでおり、2015年度6月までに、担任保育士による入力を完了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2015年度の3歳児健診参加児の約1000名分の行動評定結果と保護者結果を、個別に割り振ったIDを元にマッチングさせ横断データを作成し、行動評定スケールの妥当性を検証する。さらに、ADHD傾向の行動評定に合わせて、もうすでに導入しているASD傾向を把握するスクリーニングツールPARS幼児期短縮版のデータを合わせることで、就園前の発達障害傾向に関する多面的なマッチ―ングデータを作成する。 最終的にはに、2016年度の公立保育園新入園時の担任保育士による適応行動評価を追加する形で、約500名分の縦断コホートデータを作成する予定。行動評価パッケージの妥当性を検証すると同時に、保健師が現場で簡便に活用できるADHD傾向およびASD傾向の早期発見のアルゴリズムを作成する予定。
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Causes of Carryover |
データ入力のアルバイトなどを当該年度で雇用する予定であったが、データ入力業者を活用したために、その分の謝金が浮いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、データの種類上外部業者への委託ができないため、アルバイトを雇用してのデータ入力を依頼する予定である。該当年度から持ち越された金額を、謝金として使い切る予定。
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