2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780386
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 寿代 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (90508326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抑制機能 / 感情理解 / 問題行動 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児の抑制機能と問題行動の関連を検討した研究では抑制機能と問題行動の関連が認められた研究(Raailmarkers, et al., 2008)や内面化行動にのみ関連が認められる研究(Rhoades, et al., 2009),抑制機能と問題行動との関連は認められない研究(岡村,2012)など,一貫した結果は得られていない。 一方,幼児の感情認知と攻撃行動の関連を見出した研究は,Denham, et al.(2002)の研究のみである。さらに,幼児の感情認知と抑制機能及び問題行動との関連を検討した研究はほとんどない。そのため,平成26年度は,基礎的な研究として,感情認知及び問題行動と抑制機能の各下位尺度の関連を詳細に分析・検討することが目的であった。 本研究には,111名(年中児50名,年長児61 名)の幼児が参加した。対象児の内訳は,年中児50名(男児29名,女児21名;平均年齢4;5,範囲4;0-5;0),年長児61名(男児30名,女児31名;平均年齢5;6,範囲5;1-6;0)であった。幼児には,個別に,感情理解課題,PVT-R絵画語い発達検査,昼夜ストループ課題を実施した。また,担任保育士には,幼児用問題行動保育者評定尺度への回答を依頼した。 感情理解及び問題行動と抑制機能の相関関係を検討した結果,感情理解と問題行動の下位尺度である不注意と引っ込み思案との間に負の弱い相関(それぞれr=-.19, r=-.22)が見られ,感情理解と抑制機能に正の弱い相関(r=.28)が見られた。一方,抑制機能と問題行動の下位尺度である攻撃性,不注意,引っ込み思案にはいずれも関連が認められなかった。 この結果は,抑制機能と問題機能との関連が認められないとする岡村(2012)の研究と一致するものであった。今後は,縦断的な調査を実施し,さらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進められているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順次行われているため予定通りに進める。今後は、2回の調査の分析を行う予定であるが、統計解析手法について問題が生じる可能性があるため、その対応策として専門家の意見を仰ぐなどの対応を検討している。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも順調に進んだことと,予定していた学会にやむを得ない理由で参加できなかったため,次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,引き続きデータ収集と統計解析を行う予定である。その際に,新しい統計解析を実施するため,統計解析の専門家の助言を仰ぐ予定である。今年度の研究費は,主に,統計解析に係る謝金や旅費等に使用することと,研究成果を学会等で発表するために使用する予定である。
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