2015 Fiscal Year Research-status Report
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26780386
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 寿代 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90508326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抑制機能 / 感情理解 / 問題行動 / 社会性 / 媒介分析 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児の抑制機能と問題行動及び感情理解の関連を検討した研究は,ほとんどないことから,平成26年度は,基礎的な研究として,感情認知及び問題行動と抑制機能の各下位尺度の関連を詳細に分析した。その結果,感情理解と問題行動及び抑制機能には,相関があることが示されたが,抑制機能と問題行動の間には関連が認められなかった。 この結果から,感情理解は,抑制機能と問題行動を媒介する可能性が示唆された。そのため,本年度は,抑制機能,感情理解及び問題行動を含む,社会性の発達について詳細に検討することとした。具体的には,感情理解を抑制機能と問題行動及び社会性の発達を媒介する要因として捉え,これらの関連が成立するかを媒介分析を用いて検討した。さらに,1回目の調査から3か月後に実施した2回目の調査について,1回目の抑制機能,感情理解,問題行動及び社会性の発達が,2回目の各変数とどのように関連しているかを検討することとした。 その結果,抑制制御と社会性の発達については,感情理解を投入することにより,社会的スキルへの抑制制御の影響が有意に減少することが示された。一方,抑制制御と問題行動については,感情理解の媒介効果は認められなかった。従って,抑制制御と感情理解は社会性のポジティブな側面の発達に寄与するが,問題行動のようなネガティブな側面の生起プロセスには,影響しない可能性が示唆された。 また,5月時点での抑制機能が,3か月後の自己コントロールと正の相関があること(r=.25),5月時点での感情理解が,3か月後の自己主張スキル,協調スキルと正の相関があること(それぞれ,r=.27,r=.21)が示された。今後は,2時点での関連について詳細な分析を行うとともに,3時点での縦断調査については,5月時点からの発達の伸びに,どのような要因が影響しているのかについても検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進められているため,おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順次行われているため予定通りに進める。今後は,1回目~3回目の縦断調査の分析を行う予定である。その際,潜在曲線モデルを使用した統計解析手法について問題が生じる可能性があるため,その対応策として専門家の意見を仰ぐなどの対応を検討している。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも順調に進んだため,次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,収集したデータの分析を進める。新しい統計解析を実施するにあたり,統計解析の専門家の助言を仰ぐ予定である。また,今年度は,研究成果を学会などで発表する。そのため,今年度の研究費は,主に,統計解析に係る謝金や旅費,学会発表に係る諸費用として使用する予定である。
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Research Products
(13 results)