2014 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害におけるメンタルコントロール:対処方略とその介入法の検討
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26780393
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
佐藤 拓 いわき明星大学, 人文学部, 助教 (10577828)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 侵入思考 / コントロール方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,自閉症スペクトラムの特性によって,メンタルコントロールの困難さ,および方略がどのように影響を受けるかを検討した。 1. 質問紙調査によるメンタルコントロールの困難さと方略の検討 これまでに事例では確認されていた自閉症スペクトラムに特有なコントロール方略を測定する質問項目,思考のコントロール感,および自閉症スペクトラム指数の関連を検討した。その結果,自閉症スペクトラム指数日本語版(若林他, 2004)のカットオフポイントである33点を超える参加者は,思考のコントロール感が低く,不快な思考に対して覚醒を低下させる方略を用いて対処する傾向が強いことが明らかになった。また,自閉症スペクトラム指数の標準偏差を基準に参加者を4群に分割し,コントロール方略を比較したところ,自閉症スペクトラム傾向が強い群において同様の結果が得られた。 2. 認知機能とメンタルコントロールの困難さ・方略の関連の検討 自閉症スペクトラムの特性と認知機能,およびメンタルコントロールの困難さ,および方略の関連を検討した。先の調査と同様に,自閉症スペクトラム指数と思考のコントロール感には負の関連が示された。一方,Attention Network Test (Fan et al., 2002) によって測定した注意機能(反応時間)は,自閉症スペクトラム指数との関連が示されなかった。ただし,実行注意の指標に関して,反応時間の個人内変動を検討したところ,自閉症スペクトラム指数との関連が示された。ただし,参加者数を増やして以上の結果を再検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自閉症スペクトラムに特有なメンタルコントロール方略や認知機能を測定する課題の選定・変更に時間を要し,認知機能との関連を検討する調査に遅れが生じている。ただし,自閉症スペクトラム特有のメンタルコントロール方略を示す成果が得られるなどの一定の進展があったため,やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,前年度に得られた成果の再検討を行い,自閉症スペクトラムの特性と認知機能,メンタルコントロールの困難さ,および方略の関連の明確化を目指す。現時点では,自閉症スペクトラムの特性によってメンタルコントロールの困難さが高まることは明確に示されているが,心理検査によって測定される認知機能との関連が不明瞭である。また,認知機能とメンタルコントロールの困難さ・方略の間に明確な関連性が示されていない。以上の点を考慮したうえで,自閉症スペクトラム児・者の不適切な対処方略への介入を目指し,アナログ研究によってその介入手法の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
認知機能とメンタルコントロールの困難さ・方略の関連を検討する調査に遅れが生じ,人件費・謝金,旅費に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査協力者への人件費・謝金,および旅費に用いる。
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Research Products
(1 results)