2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on interventions to the mental control ability and strategies in Autism Spectrum Disorder
Project/Area Number |
26780393
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
佐藤 拓 いわき明星大学, 教養学部, 助教 (10577828)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 侵入思考 / 制御方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの調査から、自閉症スペクトラム傾向の高い大学生は侵入思考の制御に困難を抱えており、思考を制御するために覚醒水準の調整を行うこと、また、大声や罵り声を用いて制御を行うことが示唆された。本年度は、自閉症スペクトラム傾向の高い成人に面接調査を行い、侵入思考の経験とその対処を確認した。その結果、侵入思考を制御するために、頭の中で音声や映像を再生することで思考の侵入を抑制していることが確認された。この制御方略は覚醒水準の調整に類似した作用を持つと考えられる。また、一般大学生を対象とした侵入思考の経験とその対処に関する質問紙調査の分析を行った。その結果、上記の方略と類似した方略を用いる参加者はまれであることが確認された。 次に、侵入思考に対する制御方略についてのパネル調査を行い、方略と思考制御能力、およびメンタルヘルスとの関連について検討した。その結果、自己評定による思考制御能力の変動が制御方略の使用に影響することが示唆された。また、思考制御能力の変動はメンタルヘルスにも影響することが示唆された。さらに、侵入思考に対する制御方略についての心理教育、および呼吸法を用いた注意制御の訓練によって、思考制御能力、制御方略、およびメンタルヘルスの指標が変動するかを検討した。その結果、心理教育、または心理教育と注意制御の訓練の両方を行った場合に、メンタルヘルス指標に改善がみられた。一方、自己評定による思考制御能力は、注意制御の訓練を行った場合にのみ向上した。この思考制御能力の得点の変動は自閉症スペクトラム指数の下位尺度である「細部への関心」の得点と正の関連を示した。一般化にはさらなる検討が必要ではあるが、「細部への関心」が高い場合、注意制御の訓練の効果が促進される可能性がある。
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