2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an acceptance-based cognitive behavioral therapy program for alcohol use disorders
Project/Area Number |
26780394
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
高岸 百合子 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (40578564)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理療法 / 認知行動療法 / アルコール依存症 / セルフヘルプグループ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アルコール依存症に対する集団療法の一つとして、認知行動療法に基づくプログラムを開発し、その有効性を検証することを目的とした。本研究で作成したテキスト及びマニュアルを用いて、前年度までに、プログラムに参加する群(介入群)と通常治療を続けながらアンケートのみに回答する群(対照群)を設けた臨床試験を行った。その結果、介入群として、3グループ、計16名に対してプログラムを実施し、対照群として計17名から調査への回答を得た。 本年度においては、上記介入研究の結果の解析を進めた。介入期間中の完全断酒率は、介入群86%、対照群94%であった。プログラム参加前後で測定した心理尺度の得点を比較したところ、介入群においては、アルコール再使用リスク、ストレス反応の低減が見られたのに対し、対照群においてはストレス反応のうち「不安・不確実感」が上昇していた。以上の結果から、プログラムへの参加によりアルコールの再使用のリスクが低減する効果が期待できる一方で、逆に再使用を誘発してしまう場合があることが示唆され、本プログラム導入の時期や適否について臨床的な判断が必要であると考えられた。本研究の目的の一つとして、認知行動療法中に行われる心理教育的な働きかけが自助グループにおける回復理念との矛盾を来さずに実現できるかを検討することも目指していたが、プログラム参加中に自助グループを併用していた者のうち、当プログラムへの参加により回復に向けての行動指針等に混乱が生じたと訴える者はおらず、自助グループとの併用が可能なプログラムであると考えられた。 以上の結果について、研究参加者及び研究協力機関に対して研究成果を口頭及び書面にて報告するとともに、英語論文として執筆を進めた。
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