2016 Fiscal Year Annual Research Report
Association between sustained attention to external stimuli and improvement of depressive mood
Project/Area Number |
26780401
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
伊里 綾子 立正大学, 心理学部, 特任講師 (20712897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抑うつ / 注意 / バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
「抑うつ者は、自発的に外的刺激に注意を持続させることができない。また、そのことによって気分の改善が難しくなっている。」という仮説を検証するための研究1について分析を行った。研究1では、音楽によってネガティブ気分もしくはポジティブ気分を誘導し、抑うつ高群と低群の気分誘導後の注意課題の結果を比較した。分析の結果、データの追加が必要になったため、実験を再度行った。追加データを含め、分析を行った。その結果、ポジティブ気分誘導を受けると、抑うつ高群はポジティブ刺激やネガティブ刺激に比べ、ニュートラル刺激に対する注意を持続できないことが示唆された。一方で、ネガティブ気分誘導を受けた場合には、抑うつ高群はネガティブ刺激に対する注意のみ、持続されていた。また、注意課題の結果とその後の気分状態に明確な関連はみられなかった。結果から、抑うつ者は外的刺激に注意を持続させることができないという仮説は一部支持されたが、そのことによって気分改善困難が生じるという仮説は支持されなかった。 さらに、研究1で用いた注意課題の生態学的妥当性を検討する目的で実施した研究3について、分析を行った。研究3はストーリー映像の偶発的な記憶と注意課題の関連をみるものであった。予測に反し、注意課題によって測定された外的刺激に対する注意の持続の程度と、記憶課題の成績に明確な関連はみられなかった。また、記憶課題の成績と抑うつ傾向にも明確な関連はみられなかった。ただし、研究1のポジティブ気分誘導時にみられた抑うつ高群の特徴が研究3の注意課題においても再現されていた。 抑うつ者の注意に関する特徴を明らかにすることができたものの、予測に反する結果から、気分改善に寄与する要因を明確にするためにはさらなる解析と研究が必要となった。そのため、予定していた気分改善を促す介入(研究2)は中止し、データの追加とより詳細なデータ解析を行った。
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