2015 Fiscal Year Research-status Report
高齢がん患者と家族を対象とした終末期の治療選択に関する心理支援プログラムの開発
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26780406
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
塩崎 麻里子 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (40557948)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / 治療選択 / 意思決定 / 後悔 / 遺族 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
20-70代の一般成人936名を対象にしたウェブによる質問紙調査を実施した。質問は、「自身」ががんの終末期である場合と「家族」の場合の治療継続/中止の選択の意向と、その理由について(自由記述)。その選択がどの程度困難でつらさを伴うかを5件法で回答を求めた。 自身の場合(74%)、家族の場合(62%)共に、治療中止を選択する傾向が高かった。その理由として挙げられた選択肢のコスト-ベネフィットは、10カテゴリー(いのちの長さ・完治の可能性への希望・人生の全う・家族の気持ち・病気に立ち向かう姿勢・治療の副作用・最期の時間の過ごし方・最期を過ごす場所・家族への負担・尊厳をもった人生の締めくくり)に、また、選択肢に関連しない理由は7カテゴリー(年齢・死生観・ライフサイクル・宗教・経験・本人の意思・その他)に分類された。現状維持の選択は、治療継続のベネフィットが主な理由となるのに対して、現状変更の選択は、治療継続のコストと治療中止のベネフィットの両方が理由として挙げられていた。現状維持は、現状のベネフィットを失うリスクを大きく見積もる傾向があること、現状変更は現状のコストを大きく見積もり、変更に動機づけられ、変更のベネフィットにも注意が配分される傾向があることが示された。この割合は、自身の場合でも家族の場合でも変わらなかった。 終末期の治療選択は、単純なコスト-ベネフィットの比較で行われていない可能性がある。意思決定支援は、認知バイアスを考慮する必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8月から復帰し、当初の予定からは変更してはいるが、質問調査を実施し、目標としていた面接調査を開始できた。また既存データの再解析にも取り掛かることができており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実施した質問紙調査と再解析データの結果を取りまとめることと平行して、面接調査を継続的に実施し、最終年度の調査に向けて、研究で得られた知見の整理と方向づけを行う。
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Causes of Carryover |
前期は出産育児のため休職していたため、予定していた出張等が適わなかったことと、面接データの逐語録化ができていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、面接データの逐語録化に科研費を使用し、分析を進める予定である。
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Research Products
(6 results)