2014 Fiscal Year Research-status Report
医療領域において心理職が多職種協働で自殺対策を行うために必要なスキルに関する研究
Project/Area Number |
26780409
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
川島 義高 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 外来研究員 (20647416)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理職 / 医療領域 / 協働 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療領域において心理職が多職種協働で自殺対策を行うために必要なスキルを明らかにし、そのスキルを評価するための「心理職協働スキル評価尺度」を開発することである。なお、本研究では、実用性及び汎用性の高い尺度を開発する必要があると考え、自殺対策のみに限定した協働スキルではなく、自殺対策を含めた業務を多職種と協働で行うために必要な協働スキルに着目することとした。 平成26年度は、既存の医療領域における心理職協働スキル評価尺度を抽出するために、系統的レビューの手法を用いて探索した。具体的には、文献データベース(PubMed、PsycINFO、CINAHL)を用いて、「心理職」「協働」「医療」「尺度」の用語を組み合わせて検索式を作成して検索を行った。検索の結果、PubMedで448件、PsycINFOで403件、CINAHLで109件の合計960件の研究が抽出された。そして、精神保健及び精神医学の研究に精通した3名の研究者が独立して適格論文の選定作業を行った。適格基準は、心理職の多職種協働の評価が行われた研究、とした。また、除外基準は、1)医療領域での協働を対象にしていない研究、2)言語が英語ではない研究、3)レビュー、総説・解説論文、とした。その結果、適格論文を満たした研究は0件であった。つまり、医療領域における心理職の協働スキル評価尺度は、現状としては皆無であり、新たに開発する必要性が確認された。 次に、尺度開発に向けて、尺度項目を抽出、選定することを目的とした半構造化面接によるインタビュー調査を行った。調査対象は、医療機関において多職種と協働した経験がある臨床心理士、あるいは臨床心理士と協働した経験がある医師、看護師、ソーシャルワーカーとした。目標対象者数は25名であり、平成26年度末時点では約半数のインタビュー調査が終了し、順次、定性的分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、系統的レビューを3ヶ月で終了する予定であったが、電子データベースでヒットした論文件数が予想以上に多く、適格論文の選定に6ヶ月を要したことから、計画よりやや時間を要することとなった。しかし、その後のインタビュー調査については、倫理委員会への承諾がスムーズに得られ、また研究参加者の募集や調査実施も順調に進み、おおむね計画通り実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、「心理職協働スキル評価尺度」の因子分析、信頼性と妥当性の検討を行うために定量的調査を行う。調査対象者は、大学病院、総合病院、精神科等単科病院、精神科・心療内科等クリニック等の医療機関に勤める臨床心理士とする。統計解析を行うために必要な対象者を確保するために、全国各地の研究者や心理臨床実践家に調査協力の依頼をする予定である。また、平成26年度に得られた研究成果を順次、学会発表や国内外の学術雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施する予定であったインタビュー調査が完全に終了しておらず、残りのインタビュー調査に必要な研究費が次年度に繰り越されることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、インタビュー調査の謝金、交通費、面接実施場所の使用費等に使用する予定である。
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