2015 Fiscal Year Annual Research Report
視覚皮質のアセチルコリンは覚醒動物の視覚認知に影響するのか?
Project/Area Number |
26780415
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
相馬 祥吾 玉川大学, 脳科学研究所, 特別研究員(PD) (00723256)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一次視覚野 / アセチルコリン / コリン作動性ニューロン / 192IgG-saporin / コントラスト感度 / ゲイン調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、視覚認知機能(特に、コントラスト感度)におけるアセチルコリン(ACh)の役割を明らかにすることを目標としている。これまでに、研究代表者は、麻酔下動物(サルやラット)において、AChが多くの視覚皮質ニューロンの応答を増大すること(反応ゲイン調節)、また、その修飾作用は、ACh受容体サブタイプの中のムスカリン性受容体が重要な役割を果たしていることを見出してきた。 しかし、覚醒動物においてAChによる反応ゲイン調節がどのような視知覚を引き起こすのかは明らかとなっていない。そこで、本研究では、視覚皮質にAChを放出する前脳基底部のコリン作動性ニューロンを薬理学的に操作することで、覚醒動物の視覚機能、特にコントラスト感度が変化するかを検討した。これに先立ち、自由行動下のラットに、視覚機能検出課題を短期間で学習させる実験システム、およびプロトコルを確立し、その有用性を実証した。これにより、コリン作動性ニューロンを選択的に破壊したモデルラットにおいて効率的に視覚機能を測定することが可能となった。この新規の実験系を利用してコントロール群とテスト群(コリン作動性ニューロン破壊群)のコントラスト感度を比較したところ、テスト群において、最適空間周波数帯域でのコントラスト感度の低下が認められた。これらの研究所見は、論文としてまとめているところである。
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