2014 Fiscal Year Research-status Report
負の記憶の符号化における海馬θ波とシナプス可塑性の動的変化
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26780419
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
崎本 裕也 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40634390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海馬CA1 / シナプス可塑性 / 回避学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画書に従い,ラットに海馬依存的な課題である回避学習課題を訓練し,課題後の海馬CA1シナプス電位の動的変化を検討した。具体的には課題後0分,10分,20分,30分時点の海馬CA1シナプスの興奮性シナプス後電位(mEPSC: miniature excitatory post synaptic currents)と抑制性シナプス後電位(mIPSC: miniature inhibitory post synaptic currents)を測定した。結果は非訓練群に比べて訓練群でmEPSCとmIPSCの振幅が5分時点で増加することを示した。加えて,非訓練群に比べて訓練群でmEPSCの頻度が5分時点で増加,またmIPSCの頻度が0分時点で増加することを明らかにした。これらの結果は海馬依存的な課題の学習が海馬CA1シナプス可塑性を引き起こすこと,特に早いシナプス可塑性を引き起こしたことは,本研究で目的としていた海馬依存的な課題と海馬CA1シナプス可塑性の関係の解明において重要な知見を提供することが出来た。これらの研究成果は2015年に神戸で開催された第92回日本生理学会大会においてポスター発表によって成果報告を行っている。また,2014年にワシントンで開催されたSociety for Neuroscienceにおいても同様にポスター発表で成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた回避学習によって引き起こされる海馬のシナプス特性について検討し,学習後に興奮性と抑制性のシナプス伝達が増強されることを明らかに出来たことから,概ね順調に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は平成26年度に実施した海馬のin vitro電気生理学的検討の結果を基に,組織学的な変化についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
効率的な研究の遂行に伴い動物の購入費が抑えられたため,当該未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額については,翌年度の組織学的な実験に必要な試薬などの消耗品の購入にあてたい。
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