2015 Fiscal Year Research-status Report
カナダ・オンタリオ州におけるリテラシーを中心とした「学力」(コンピテンシー)研究
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26780425
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森本 洋介 弘前大学, 教育学部, 講師 (20633613)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンピテンシー / 21世紀型スキル / オンタリオ州中等教育リテラシーテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、州教育省とEQAOが想定する「学力」(コンピテンシー)について、何を想定し、実践においてそれをどのように子どもに達成させようとし、教員やEQAOはその達成をどのように評価しているのかを、PISAやATC21S、MILといった世界的なコンピテンシーと関連づけて明らかにすることを目的にし、特にOSSLTに焦点を当てることにより、国際的なコンピテンシーにおけるリテラシーテストとの比較を可能とし、オンタリオ州が世界でどのような特徴を有しているのかを明らかにしようとしている。 27年度は、28年度の本格的な観察調査に向けての前段階とし、28年度秋に行う現地調査においてはEQAOに対してより詳細な聞き取り調査や基礎的なデータ収集、コンタクトパーソンとの関係づくりに重点を置いた。そのため、実際に学力改善校としてEQAOで紹介されている中等学校において授業観察を行い、どのようにEQAOの想定する「学力」を育成しているのかを観察した。具体的には、カナダ・オタワにあるカトリック系中等教育学校(7年生~12年生)を2016年3月1日に訪問し、2016年3月末日に予定されているOSSLTの対策授業の様子を観察した。その授業では、過去のOSSLTの試験問題を生徒が解いた後、その解答の解説を教師や実施主体であるEQAOの関係者が行ったり、生徒同士でなぜその解答が妥当なのかを互いに検討したりしていた。これは日本の全国学力・学習状況調査と比較するとその違いが際立つ。すなわち、テストのためにテスト対策をするのではなく、なぜそのような「学力」を育成することが重要なのかを、生徒に納得してもらいながら、その「学力」を伸ばすための学習を行っているのである。 また、OSSLTの採点作業を現職教師や退職教師が行っているが、その採点過程を調査する日程を、コンタクトパーソンを通じて確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画の予定通りに概ね進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べた通り、概ね計画通りに進行しているため、今後も計画に沿って研究を進めていく予定である。28年度はEQAOが実施している標準テストの採点過程の調査を中心に進めていく。採点過程はインターネットで公開中継されることを確認済みであり、日本国内でも調査可能である。また、採点過程の中心にある人物へのインタビューについても、27年度に申込み、概ねの調査日程を組んだところである。
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Causes of Carryover |
中間報告書を刊行する予定であったが、残金が少額だったため、次年度予算と合わせて使用することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中間報告書の刊行費用に充てる。
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