2016 Fiscal Year Research-status Report
カナダ・オンタリオ州におけるリテラシーを中心とした「学力」(コンピテンシー)研究
Project/Area Number |
26780425
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森本 洋介 弘前大学, 教育学部, 講師 (20633613)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | コンピテンシー / カナダ・オンタリオ州 / 学力評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず本研究の中間報告書として『カナダ・オンタリオ州におけるリテラシーを中心とした「学力」(コンピテンシー)研究 平成26-29(2014-2017)年度 日本学術振興会科学研究費補助金 若手研究(B)(課題番号26780425)研究成果中間報告書』を発行した。これは研究実施計画にも記載していたことであり、日本比較教育学会等の大会において配布した。また、併せて日本比較教育学会第52回年次大会(2016年6月25日)において本研究の成果の一部として「カナダ・オンタリオ州における州統一学力テストの実際:『効果のある学校』の観察と関係者への聞き取りから」と題した研究発表を行った。本中間報告書及び本学会発表を聴講した研究者から、「テスト・ガバナンス/ポリテックス研究会」という他の研究グループへのゲスト講師の依頼を受けることとなり、一定の成果を得ることが出来たと考えられる。 また、2017年3月にはオンタリオ州トロントを現地訪問し、「教育の質とアカウンタビリティに関するオフィス」の主任研究員へのインタビューを行った他、トロント市近郊のミシサガ市にあるミシサガ中等学校を訪問し、学校長に学力向上のための取り組みについて聞き取りを行った。またいくつかの授業を観察することができた。オンタリオ州における学力評価システムの概要や、学力向上に成功した学校の取り組みについてはホームページでも閲覧可能であるが、実際に当事者に聞かなければ明らかにならないことや、公表されていない情報もあり、現地訪問を行うことによって得られた情報には一定の重要性がある。それらの情報を得られたことは本年度の成果として重要であったと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請書には「27年度から28年度にかけては、「学力」の評価や学校現場へのフィードバックを実施する主体であるEQAOに段階的に焦点を移行させて質的調査を行う。さらにOSSLTの問題内容分析と評価の過程、教育実践の観察等、具体的な調査を行う」、特に28年度は「教育委員会と学校現場におけるEQAOのコンピテンシーの受け止めについて調査を行う。その具体的な事例として5月に実施されているOSSLTの採点作業を訪問観察し、実際の採点作業の様子や、参加している教育関係者(教育委員や現職教員など)にインタビューすることで、現場レベルでのコンピテンシーの受け止め方や、公平・公正な社会づくりに関する意識を明らかにする(そのための旅費を計上した)」と記載している。 このうちEQAOへの訪問と関係者への聞き取り、OSSLTの問題作成過程と採点過程についての調査、EQAOが効果があったと認定している学校2校への訪問調査といった調査内容を実現することができた。また、学校訪問の際に行った聞き取りにおいて、教師や生徒のOSSLTやコンピテンシーに対する意見を聴く機会も得ることができた。これらの研究状況から、申請書に記載した内容を概ね満たすことが出来ていると判断したため。一方でOSSLTの採点作業に関しては守秘義務があるため部外者の参加が認められない状況であり、採点作業のプロセスやその様子について関係者から聞き取りを行うに留まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究の最終年度であるため、基本的にはこれまでの研究で得られた成果を整理していくとともに、不足している情報に関しては補足調査を行うこととする。収集した情報・データを分析し、本研究の結論を導く。また国際的なコンピテンシーの枠組みの具体例としてのリテラシーテストとの比較考察を行うことで、オンタリオ州の想定する「学力」の特徴として考えられる公平・公正なコンピテンシー形成について明らかにする。
|
Causes of Carryover |
3月18日の科研での研究会に招聘した研究者が急病のため欠席したことによる謝金及び旅費の支払いがなくなったため。年度末だったため、経費計画の見直しが困難であり、次年度に持ち越すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
別途本研究に関係する研究会を開催し、その研究会への講師の招聘に係る謝金・旅費に充てる予定である。
|