2014 Fiscal Year Research-status Report
ルソーの女性教育論再考―宗教的世界観との連続性に着目して―
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26780426
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 マリア 筑波大学, 人間系, 助教 (20434425)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ルソー / 近代教育思想 / 道徳教育 / 宗教 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近代教育思想の祖と評されるルソー(J.J.Rousseau,1712-1778)の教育思想について、とりわけ、これまで概して、近代啓蒙主義的ヒューマニズムの流れの中で合理主義的に解釈されることの多かった『エミール』を、宗教的世界観との連続性に着目しつつ全体を捉え直したとき、従来、フェミニズム論やジェンダー論との関係において批判されることの多かったルソーの女性教育論がいかなる教育的意義を有していたのか改めて考察することである。 「研究実施計画」に示した通り、平成26年度は、上記の目的を達成するための基礎的研究として、女性論を始めとするルソーに関する国内外の先行研究を幅広く調査・収集するとともに、それら収集した史資料の読解と分析を行った。 また、平成26年度は、上記の予備的検討のほかに、本研究のテーマとの関連で押さえておくべき課題、すなわち、ルソーの女性論に少なからぬ影響を及ぼしていると考えられるヴァラン夫人をはじめとするルソーの周囲の女性たちの存在に関心を置き、具体的にはルソーと実際、交際のあった女性たちについても検討を深めるべく、現地における調査・資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するためには、ルソーの著作群のみならず、18世紀の女性論やルソー自身の女性との交友関係に関する調査・資料収集など、国内だけでなく現地のものも含め、幅広く情報を集めることが不可欠であるが、今回、助成金をいただいたおかげで、とくにルソーの女性論関係の文献や情報を入手し、その翻訳、読解に着手することができた。若干、刊行が遅れているものもあるが、随時、刊行されることが予定されているため、全体としては計画通り順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さしあたり平成26年度に収集し、着手し始めた読解・分析をさらに進めながら、引き続き刊行が予定されているルソー全集、また、生誕300年記念の成果論文集の収集や読解を通じて、より本研究の目的を見通した全体像の把握につとめていく予定である。現在、ルソーの女性論に関しては、諸外国の先行研究を整理・検討している段階であり、その見通しが立ったら、学術論文誌への投稿あるいは著書化に向けた準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に購入する予定であった、ルソー全集および先行研究、論文集などに関して、若干、刊行の遅れや入手に手間取ってしまったものがあり、年度内に間に合わせることができなかったため、計画段階における設備備品費の使用予定額とのずれが生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、刊行あるいは入手する計画に変更はなく、若干の遅れは生じたものの、全体としては問題なく進められる予定である。平成27年度内には予定していた著書や資料を発注、入手する予定である。
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