2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reconsideration on Rousseau's theory of education for woman in "Emile"
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26780426
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 マリア 筑波大学, 人間系, 准教授 (20434425)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ルソー / 女性教育論 / ジェンダー / エミール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代教育思想の祖と評されるJ.J.Rousseauの『エミール』について、とりわけ、一般にフェミニズム的観点から批判されることの多かった第5編の「女子教育論」について、それをフェミニズム的観点からではなく、公正や美徳といったルソーの道徳観や倫理観と絡めて検討することによって、これまで前近代的で保守的な男性優位論と捉えられてきた「女子教育論」の意義を改めて考察することを目的としたものである。当初、3年間で予定されていた実施計画に基づき文献の収集、読解、分析などを続けてきたが、途中、訪問予定であった欧州でテロによる治安情勢の悪化を受けて研究計画を半年遅らせざるを得なくなった関係で、平成29年度に最終年度を迎えた。この点を除けば全体としてはほぼ計画通り進めることができた。とくに、最終年度にあたる平成29年度は、3年間の成果を総括として論文にまとめた。具体的には、ルソーの女性教育論が単なる男性優位主義者の論調ではなく、普遍的な正義論ではひろいきれず、むしろこぼれ落ちてしまうところのもの、それはケアリング的とでもいってよいような価値の重要性を認識していたがゆえに説かれたものであること、『エミール』の「女子教育論」は女性の道徳的卓越性について言及した「もうひとつの声」として読まれるべきものであることを明らかにした。また、女性に対するルソーのこうした論考が第5編の前半(道徳論、宗教論の延長にあり、かつ政治論の前)に置かれていることの「エミールにとっての意義」についても言及した。さらに、そこで説かれる男女の性差、相補完的関係、役割分業的な関係は決して固定的なものとして示されているわけではなく、相互に影響を与え合うことで次第に融解していく類のものであること、ルソーの思想の中にはもっと多様で複雑な性に関する考察が展開されていた可能性が考え得ることなどについても明かにした。
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Research Products
(1 results)