2014 Fiscal Year Research-status Report
養護訓導の誕生と量的拡大過程-養成システムの確立と職制運動-
Project/Area Number |
26780428
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
七木田 文彦 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40431697)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 養護訓導 / 直轄諸学校 / 葛西タカ / 「養護」概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立公文書館所蔵史料、国立教育政策研究所教育図書館所蔵史料、筑波大学附属体芸図書館所蔵史料、山形大学附属小白川図書館所蔵の養護訓導関連史料を収集、検討、分析を行った。 研究成果は、2014年11月に金沢市で行われた一般社団法人日本学校保健学会第61回学術大会において、「養護訓導の量的拡大過程-1940年代の学校への配置状況-」と題して研究発表を行った。また、その研究成果を反映させながら、株式会社大空社より瀧澤利行・七木田文彦・竹下智美著「雑誌「養護」の時代と世界-学校の中で学校看護婦はどう生きたか-」を2015年3月23日に刊行した。 同書の中で、本研究の成果として、第4章「雑誌「養護」「学童養護」の中の学校看護婦」の第3節「「養護」の語られ方ー意味内容についてー」pp.134-160 、第5章「養護訓導の誕生と量的拡大過程」pp.161-223までを執筆した。分析内容については、養護訓導成立にあたって、その前段階における「養護」の概念検討として、1920年代から1930年代に使用された「養護」概念について整理・検討を行った。その上で、1941年に誕生した養護訓導制度、さらに量的拡大過程について、文部省が昭和17年-昭和30年までを見通して作成された養護訓導設置計画について明らかにしたこと、直轄諸学校(師範学校附属国民学校)における養護訓導の設置状態について、国立公文書館所蔵史料を使用して明らかにした。また、養護訓導が著した書籍等の分析から、養護訓導の制度的成立だけではなく、内実共に養護訓導が成立した事例について篠崎ハル、葛西タカを中心として記述した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、都道府県立図書館郷土資料室、および、全国の大学附属図書館に所蔵されている戦中・占領期の学校衛生一次史料の収集を行い、読解を進めた。同史料の収集は予定通りである。 研究成果の発表は、2014年11月に開催された一般社団法人日本学校保健学会第61回学術大会において研究発表を行ったところまでは、おおむね計画通りである。その後、研究成果の公表として、株式会社大空社より「「雑誌「養護」の時代と世界-学校の中で学校看護婦はどう生きたか-」を2015年3月23日に刊行することができた。同書の中で、本研究の成果として、第4章「雑誌「養護」「学童養護」の中の学校看護婦」の第3節「「養護」の語られ方ー意味内容についてー」pp.134-160 、第5章「養護訓導の誕生と量的拡大過程」pp.161-223までを執筆し、執筆の過程で、当初の予定を上回り、予想以上に分析を進めることができ、その研究成果を出版という形で公表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
予想以上に研究の進度が早いこともあり、平成27年度は、より詳細な地方史料、個人文書を収集し、発展的に個別事例を交えながら論の展開を進める。1940年代の史料は、戦時下ということもあり、地方公立図書館等に所蔵されている小さな史料をも収集し、体系的に整理する。その上で、11月に開催される一般社団法人日本学校保健学会第61回学術大会での学会発表、2016年3月に開催される第14回日本教育保健学会(水戸)において学会発表を行う。さらに日本教育保健学会年報の学会誌への論文投稿にて進めた研究成果について発表を行う。内容については、①養護訓導成立にあたっての地方への定着過程、および実践の全容について分析を進める予定である。②戦時下の養護訓導養成に関する分析と戦後教育改革における養護教諭養成制度の成立過程を中心に研究を進める。特に、戦時下の試験検定、無試験検定についての分析、占領期における教育刷新委員会、CIE、文部省における養護教諭養成制度の議論について中心的に分析を行う。 戦時下史料としては、帝国学校衛生会刊行「学校衛生」、大日本学校衛生協会刊行「日本学校衛生」、さらに、養護訓導の各学校への設置と実態を把握するために、以下、約300点の学校実践史料を収集し分析を行う。 戦後教育改革期の史料収集は、平成26年度から平成28年度までの継続作業となる。史料は、国立国会図書館憲政資料室所蔵のGHP/SCAP Records,Civil Information and Education Section(民間情報教育局文書)、同Public Health and Welfare Section(公衆衛生福祉局文書)、University of Iowa Archives Special Collections(アイオワ大学附属図書館アーカイブズ)所蔵のCharles Harold McCloy Papers(マックロイ私家文書)を中心に史料の収集を行う。約7200件の会見録は、データベースに沿って整理し、準じ読解作業を行う。
|
Research Products
(3 results)