2015 Fiscal Year Research-status Report
養護訓導の誕生と量的拡大過程-養成システムの確立と職制運動-
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26780428
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
七木田 文彦 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40431697)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 養護訓導 / 社会史 / 学校看護婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立公文書館所蔵資料、国立国会図書館憲政資料室所蔵資料、筑波大学附属体芸図書館所蔵資料等で収集した学校看護婦/養護訓導関係史料の読解と検討、分析を行った。その研究結果は、岡山市にて行われた日本学校保健学会第62回学術大会において、「1930年代の学校看護婦と学校・地域 積極的養護と指導系統の整備」と題して研究成果発表を行った。 同報告では、1930年代の学校看護婦職務の実際として、岡山県上道郡操南尋常高等小学校、山口市白石尋常高等小学校、新潟市榮尋常小学校、大分県大分郡明治尋常高等小学校などの学校で試みられた実践について検討した。明治尋常高等小学校では、衛生養護施設の方針として、「児童身体の衛生と鍛錬とに留意し、健康の増進並に旺盛なる気力の養成に努む」として、「児童個体の発達状況に留意した個別的養護」、「各児童の発育状況を自覚して自律的に発奮努力せしめ、永続的良習慣の養成」、「積極的養護に重きを置き、旺盛なる気力の養成」を目的として指導系統の整備をおこなっている。指導系統には、学校長のもとに、学校医、学校看護婦とは別に、養護主任、衛生主任、訓練主任をおき、児童看護当番、児童を通して家庭と接続する系統を整備していた。学校看護婦、養護訓導の量的拡大がともなわない中での学校独自の形態を整備していた。 また、岡山県上道郡操南尋常高等小学校においても、「個性的(身体的)特質に基き実効を期待」した実践が展開され、学校医、学校歯科医、学校看護婦以外に、補助看護婦二名がおかれた。補助看護婦は、操南母性乳幼児保健組合の助産師であり、洗眼その他において学校看護婦の補助役として配置されていた。 以上の成果を含め、水戸市で開催された第13回日本教育保健学会にて「養護実践にみる教育保健機能の検討」と題してその研究成果の一端について研究成果発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、国立公文書館所蔵資料、国立国会図書館所蔵資料、国立教育政策研究所教育図書館所蔵資料等を中心に読解と検討、分析を進め、予定通りの研究成果発表を行っている。昨年は、大空社より「雑誌「養護」の時代と世界-学校の中で学校看護婦はどう生きたか-」を刊行し、その研究成果をもって、養成システムの変遷過程、さらに社会史的視点から研究を進めることができた。史料の体系的収集と読解についても順調に進めている段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度の研究進行状況が予想以上に進められたこと、さらに昨年度の進行状況がおおむね順調に進行していることを含め、養護訓導の量的拡大過程は、日本国内にとどまらず、植民地への状況も徐々に判明しつつある。こうした植民地計画を含め、前2か年の研究成果をまとめながら最終年度に成果発表を行い、投稿論文として研究成果を公表する予定である。収集予定史料は、1920-1930年代の台湾学校衛生史料や植民地計画資料、過去2年間に収集してきた国立公文書館史料、国立国会図書館史料、国立教育政策研究所教育図書室所蔵史料等については継続して収集し検討と読解を進める予定である。研究成果発表は、11月に筑波大学にて開催される日本学校保健学会第63回学術大会、3月に仙台市にて開催される第14回日本教育保健学会において研究成果発表を行う予定である。また、学校保健研究誌と日本教育保健学会年報への研究論文執筆と投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)