2015 Fiscal Year Research-status Report
高校教育の質向上のための普通教育と専門教育の関連づけ
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26780437
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
本所 恵 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80632835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 後期中等教育 / カリキュラム論 / スウェーデン / 専門教育 / 共通教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの文献調査及びフィールドワークの成果を踏まえて、スウェーデンの現在までの高校教育改革の歴史を単著にまとめた。スウェーデンの高校教育課程改革においては、すべての生徒に後期中等教育を保障することを旨とし、共通の教育を編成しながら、同時に後期中等教育を多様な専門性に結びつく教育としてデザインしようとしていた事が特徴として示された。とくに、2011年改革において方向性が転換しているものの、単純な複線型学校体系への回帰ではなく、専門性と共通性の関連を考える土台は継続していた。すべての生徒に共通する能力の育成として注目されるのは、EUのキー・コンピテンシーに代表されるような汎用的な能力だった。こうした能力については、スウェーデン国内にとどまらずEU地域の動向として捉えることができた。高校の各課程において、何が、どのように評価され、認定されているのかについて、他国と比較しながら、文献および現状を解釈することの重要性が明らかになった。 また、近年の動向を検討する中で検討課題として浮かび上がってきたのは、外国に背景をもつ子どもたちの急増である。教育を保障する対象となる子どもたちについて、学力・言語・文化など様々な側面から見て多様性が拡大している。こうした多様な子どもたちへの学校教育について、スウェーデンは人道的で興味深い対応をしている。そのカリキュラムや彼らの能力の評価に関わる問題を取り上げることで、高校教育の目的と現状とをよりクリアに見ることができると思われる。 日本の高校においては、いくつかの高校へのフィールドワークを行った。専門分野を越えて教員間が学び合う場として、授業研究が行われている例がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りスウェーデンの現在までの改革動向を整理しまとめることができた。スウェーデンでは、新しい動向の把握や、フィールド調査も予想以上に順調に進展し、研究成果の発表も行った。しかし一方で、日本の高校の更なる調査は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
スウェーデンと日本の高校に共通する課題として、教育評価のあり方に焦点を当ててフィールドワークをすすめる。 ただし、両国の状況を適切に把握しようとすれば、形式的に分かりやすい比較を行うよりも、それぞれに独自な課題や特徴を生かした検討が必要であると考えられた。今後は、両国の後期中等教育における専門性と共通性をめぐる論点を整理した上で、その方策について個別に検討をすすめる。
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Research Products
(5 results)