2015 Fiscal Year Research-status Report
学校統廃合にともなう地域変容の具体的検証と複層的コミュニティの構想
Project/Area Number |
26780440
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹間 康仁 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員(PD) (10724007)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 学校づくり / 教育環境 / 学区 / 校名 / 校歌 / 子ども会 / 運動会 / 文化祭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校統廃合の実施によって地域が受ける影響について、具体的な変化や変容の実態を明らかにするものである。研究期間の2年目にあたる本年度は、地域の表現形式として校歌の変更に関する研究を進めつつ、地域の活動形式の変容に視野を広げて、なかでも文化活動との関わりのなかで地域の再編成や再設計につながる動きを捉えた。 まず、学校統廃合にともなう校歌の変更について、前年度に実施した全国郵送調査と現地事例調査の結果に基づく論文をまとめた。論文では、統合の形式別に校歌の作成方法と指導方法を明らかにした。さらに、統合校の校歌の決定過程には、住民、教師、児童・生徒とその親など多様な立場にある主体の教育的意図が込められており、統合後の学校づくりへの参加の過程として校歌づくりが位置づけられている実態を指摘した。 次に、学校統廃合の実施を受けて、統合校の学校づくりに地域がいかなる関与と参加をみせたかについて、新規の事例調査に着手した。新規の事例においては、統合校の校歌の制定のみならず、教育課程の編成や学校行事の企画に着目して、それらが地域活動や文化活動とのかかわりのなかで編み出されてきた過程について、学校長や地域の代表者に対する聞き取り調査を進めた。 さらに、学校統廃合の実施前後の過程を連続的に捉えて、地域活動の動態的な変容を捉えるため、選定した一つの事例について、多角的な聞き取り調査を実施した。地域活動の担い手である住民のみならず、閉校した学校の校長と統合先の学校の校長、閉校した学校に通っていた児童、教育委員会職員、地域振興課職員、観光課職員など、聞き取り調査を多角的に実施することで、学校統廃合にともなう地域活動の変容を立体的に把握する調査を進めた。 以上のとおり、本年度は、前年度における基礎的な研究作業を踏まえて、研究視角を明確にしたうえで具体的な事例に絞り込んだ研究活動を展開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究を進めている。昨年度の全国郵送調査に基づいて選定した事例について、順次、現地調査を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
地域における活動体系の変化として、運動会や文化祭に限定せず、芸術活動や伝統芸能に関する活動など、視野を広げて研究を展開する。
|
Research Products
(2 results)