2014 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ合衆国における教員評価制度に関する実証的研究
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26780443
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
藤村 祐子 滋賀大学, 教育学部, 講師 (80634609)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教員評価政策 / 米国 / 職能開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の研究計画に従って以下の研究を実施した。①連邦政府による教員評価政策の実施状況の解明、②「教員の専門性を確保する教員評価制度」の特質と課題の明確化、収集した文献分析を中心に、以下の事項を明らかにした。 連邦政府によるRTTTプログラムとNCLB法義務遂行免責の遂行により、教員の有効性を基礎とするアカウンタビリティシステムの創設がほとんど全ての州で進められている。制度の概要は多様であり、具体的に以下の3点、1)生徒の学力データの活用、2)州・学区間の関係、3)評価結果の活用を中心に比較検討した。その結果、以下の知見が得られた。 1) 教員評価システムにおける生徒の学力データの活用は、2013年時に41州が義務付けている。学力測定の方法について、多くは州統一テストの活用を義務づけているが、同時に多様な測定方法を認めている州も半数を超える。2) 教員評価システムの創設に関する権限を学区にどの程度移譲するかは州によって多様である。11州とD.C.は州統一の教員評価システム創設しその導入を学区に義務付ける一方、39州が学区独自の評価システム創設を認めている。3) 教員評価結果は、テニュアや免許付与、職能開発、教員報酬、解雇、教員養成機関の改善などの利用されている。4) 連邦による教員政策は、各州の教員評価システムに一定影響を与えており、教員評価システムの標準化を進めたと言える。非効果的教員の排除をすすめた。その一方で、評価システムの活用方法等においては、各州次第である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主に文献資料に基づき、教員評価政策の実施状況を把握し、次年度以降の分析枠組みを確立にするための知見を得ることができた。しかし、日本国内で入手できる資料には限界があり、さらなる資料収集を行う必要がある。この点については、次年度現地調査を予定しているため、補填できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、第一年次の調査結果を踏まえて、概ね当初の計画通り特色ある州や学区を抽出し、現地調査を実施する予定である。具体的に以下の概要をもって実施する。 1) フロリダ州の教員評価制度の分析:フロリダ州は連邦政府の示す政策方針通りに教員評価システムの創設を進めた州である。しかし、同システムの実施をめぐり、訴訟が実施されている。そこで、訪問調査を実施し、創設経緯、具体的運用実態などの制度の動態面の分析を行う。 2) コロラド州の教員評価制度の分析:大学関係者、教育行政機関などの訪問を調査を通し、現行の教員評価システムの運用状況を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ネット環境を整えるためのプリンターやPC等の機器類が従来使用していたものを利用することができたため、設備備品費を予定よりも抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は老朽化が進むため、当初予定していた通り、ネット環境整備のためのPC関連機器を購入する予定である。
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