2014 Fiscal Year Research-status Report
高等学校における教育資源配分の効率性および多元的な教育資源調達手法の検討
Project/Area Number |
26780445
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江上 直樹 京都大学, 地域連携教育研究推進ユニット, 助教 (30727342)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 教育行財政 / 教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高等学校における「効率的」な教育資源配分のあり方を考察し、多元的な教育資源調達手法を模索することで、教育水準の維持向上、学校経営ガバナンス向上に寄与する政策をどう設計するか検討することを究極的な課題としている。具体的な研究目的は以下の通りである。 A.各々の高等学校がどの程度の教育資源を有しているかの調査・解明 B.各々の高等学校が投入している教育資源量と教育成果との関連性の分析・解明 C.教育資源調達を担う人材に必要な能力、具体的な業務内容の検討 本研究は、これらの目的のもとに実施されており、特に昨年度は「A.各々の高等学校がどの程度の教育資源を有しているかの調査・解明」に必要な元データ収集のための調査を中心に行った。大阪府立高等学校を対象とした調査では、公教育費と私教育費の両面をふまえた各学校が一年間に使用できる教育活動費(学校の運営経費から人件費と設備投資費を抜いたもの)を計算したところ、公立の高等学校といえども学校間で少なくとも約1.6 倍の差があることが分かった(生徒一人当たりで年間約6万円、一クラスあたりで年間約240万円の差)また、寄付金や後援金等も考慮すると、回答のあった学校だけでも私教育費収入に最大で年間800万円以上の差が出ており、公立の学校といえども対等な競争条件、いわゆるイコールフッティングのもとでの競争が行われていない可能性が高いことが分かった。今後は、より詳細な分析ができるよう調査範囲を広げるとともに、多元的な教育資源調達手法を模索するために、国内外の先進事例についての事例調査を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現職に雇用されたばかりであるということ、また、本務において大学として新しく取り組んでいるプロジェクトを担当していることもあり、当初想定した以上に時間の調整が難しく、本研究課題について十分に時間をかけ取り組むことが困難であった。 平成27年度については、前年度の取組をもとに本務業務を進められるとともに、本研究代表者の所属する組織の構成員が増員されたこともあり、業務負担がかなり軽減される見通しである。そのため、前年度の研究状況の遅れについては、十分に取り戻すことができる環境が整えられている。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度は「A.各々の高等学校がどの程度の教育資源を有しているかの調査・解明」のための現地調査・文献調査を中心に研究を行ったが、同研究目的の更なる追及を行うためにも、昨年度よりも調査範囲を広げた質問紙調査の実施が必要となる。そのため、本年度の計画として、まずは関西圏の高等学校を対象とした質問紙調査の作成・実施を行う。 次に、「B.各々の高等学校が投入している教育資源量と教育成果との関連性の分析・解明」のために上記の調査により判明した教育資源量と、各学校による教育成果との分析するにあたって、教育成果の指標が必要となる。学校評価の先行研究及び実務事例をもとに、数理的分析が可能となるよう教育成果の指標化を図る。 さらに、「C.教育資源調達を担う人材に必要な能力、具体的な業務内容の検討」を行うにあたり、先行事例として、特に英国の学校におけるbusiness manager について、文献調査および訪問調査から、その具体的な業務内容、業務に必要とされる能力、制度的な課題について明らかにする。
|
Causes of Carryover |
【現在までの達成度】欄にも記載した通り、本務との時間調整が申請時の想定以上に困難であったため研究の進行に遅れが出ており、当初平成26年度に実施する予定であった質問紙調査が、平成27年度に繰り越された影響で次年度使用額が生じることとなった。 具体的には、質問紙調査の統計処理のために必要な「物品費」15万円(統計処理ソフト、情報処理端末、書籍等)と、質問紙の郵送・回収に必要な「その他」15万円(625部×240円)の分が次年度使用額となっている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、質問紙調査の郵送・回収およびその分析のために必要な物品の購入に使用する。 質問紙調査は、質問紙を5月中に作成し、6~7月に郵送・回収を行い、8月以降にその分析を実施する。そのため、質問紙の郵送・回収費として6~7月に15万円を使用し、分析のために必要な物品として7~8月に統計処理ソフト、情報処理端末、書籍等の購入を行う。
|