2014 Fiscal Year Research-status Report
現代米国における学校管理職養成・評価システムの変容に関する研究
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26780449
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
柴田 聡史 琉球大学, 学内共同利用施設等, 講師 (40721882)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校管理職養成 / 「頂点への競争」プログラム / どの子も置き去りにしない法(NCLB法) / アカウンタビリティ / 学校管理職評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、米国における学校管理職像の変容とそれに伴う養成・評価システムの変動を、学力テストと厳格なアカウンタビリティに基づく連邦主導の改革の展開において明らかにすることである。具体的には、ブッシュ政権下の「どの子も置き去りにしない法」(NCLB法)、およびオバマ政権による「頂点への競争(Race to the top)」(RTTT)政策を契機として、学校管理職の評価システムの構築が進められる中で、管理職の「資質」がどのように設定され、各州の施策としていかなる改革動向が示されているかを分析し、学校管理職の養成や評価をめぐる制度改革の構造とその特質を解明することを本研究の課題としている。 本研究の初年度は、連邦政策および全米レベルの関係機関における議論の分析と分析枠組みの検討を行うこととした。具体的には、先行研究の整理・検討に基づき、1980年代以降の管理職の資質をめぐる論議と資格・養成制度改革の展開を確認するとともに、現在の連邦政策関連の資料、全米の専門職団体の報告書等の資料の収集を中心が中心的な作業となった。特に、全米教育長協議会(CCSSO)では今後の各州での免許制度・養成制度改革の在り方について、他方、全米初等学校長協会(NAESP)と全米中等学校長協会(NASSP)では評価制度の在り方について、それぞれ連邦主導で進行する現在の教員・管理職政策を踏まえた検討がなされていることが確認された。こうした議論は、専門職団体の立場から今後の制度改革に向けた方向性を提示するものであるとともに、その前提としての管理職の今日的な資質・役割を検討するものであった。これら全米レベルでの議論の詳細および各州の制度改革との関連については現在分析中であり、次年度の現地調査の結果も踏まえて明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に対象としていた連邦レベルの政策展開および関係団体の議論の検討については、既存資料に加え国内で入手可能な資料に基づき、概ね計画通りに進行している。ただし、本年度内に予定していた米国調査については、現地との調整の結果、次年度に実施することとなった。この点に関してはやや当初計画からの遅れが生じているが、スケジュールの修正により、本年度の積み残しについては次年度の早い時期に達成することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず、本年度の予定していた訪問調査を早い時期に実施することにより、進捗の遅れの修正に努める。その後は、研究計画にしたがって、各州の改革動向の全体的な把握・類型化を進めるとともに、本年度の連邦レベルの分析を踏まえて、マサチューセッツ州の管理職評価制度を事例として制度改革の動態について検討する。加えて、当初の予定通り、本年度の成果を含めて、関連学会での発表等に努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由については、本年度に予定していた米国での訪問調査が日程調整の結果、年度内に実施できなかったことによるものである。当該金額は、その旅費相当分である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の米国調査旅費に相当する次年度使用額ついては、次年度の早い時期に米国調査を実施することにより使用する。その他、次年度分の経費については、国内学会での成果報告および米国調査に係る旅費、書籍・資料等の購入に係る物品費、資料の複写・郵送に係るその他経費として、当初の計画にしたがって執行予定である。
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