2017 Fiscal Year Annual Research Report
The empirical research about the establishment of public"Advanced school" and the regional formation of support foundation in Early Meiji era
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26780461
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Research Institution | Biwako-Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 敦史 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 准教授 (40645305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公立「先進校」 / 庄内 / 三島通庸 / 地域利害 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、庄内地方、とりわけ鶴岡における朝暘小学校の創設の意義を、地域の教育要求と、当時県政を主導していた三島通庸の動向に焦点をあてながら検討を行った。酒田の琢成小学校(1879(明治)12年)に先立って、1876(明治9)年になされた朝暘小学校の創設は、1874(明治7)年12月に山形県令に着任した三島通庸による近代化策の初期段階として位置づけられる。故にそこでは、「旧習」の一新と、その為の「敬神ノ道」「愛国心」の徹底が学校創設にあたって重視され、地域社会からの創設費用の強引な取り立てや、「敬神」「愛国」を是とする学校運営が企図されていた。こうした三島による強引な地域開化とその象徴としての朝暘小学校の創設は、地域社会の教育要求とのズレを生じさせた一方で、旧藩勢力への強い批判を抱いていた地域の人々にとっては、複雑な思いを伴いながら受け入れられていったことが分かった。 今回の検討により明らかになった朝暘小学校創設の意義を、これまで検討してきた琢成小学校の例と時系列に整理することにより、庄内地方における、公立「先進校」創設の過程と意義が、より明確になった。 なお、こうした検討により、「先進校」の創設による教育振興の意義を、その後展開される、地域社会における中学校創設計画と関連づけて整理することの重要性が改めて感じられた。 今年度は、こうした今後に向けた課題を可能な限り明確化するためにも、地域の「先進校」が創設される一方で、そうした動向を背景に模索される中等教育機関の創設計画について、学会発表を行った。また今年度は、一昨年来取り組んできた、地域の政治課題と「先進校」の創設・運営に関する検討枠組みとしての、「地域利害」と学校運営の関係性に焦点をあてた研究論文を学会誌に投稿した。当該論文については査読の結果、現段階で採用予定との返事をうけており、その成果は、2018年夏頃に公表予定である。
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Research Products
(1 results)