2014 Fiscal Year Research-status Report
文字学習を見通した小学校低中学年における外国語活動カリキュラムの開発
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26780463
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
赤沢 真世 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60508430)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外国語活動 / 文字学習 / カリキュラム / ホール・ランゲージ / フォニックス / 小学校 / 評価 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.資料収集と検討では、英語圏におけるフォニックス指導の前提となる「Phonemic Awareness(音素への気付き、音韻認識能力)」および「Print Awareness」の議論を、Yopp,H.KやC. Weaver といった原点にあたる議論から現代の議論まで収集し、検討を進めた。また、日本において理論を紹介し、外国語活動での実践に結びつけたアレン玉井などの研究成果を検討した。また、子どもの言語経験を尊重し、そのなかで基礎的な文字学習のスキル(フォニックス指導など)を行うホールランゲージの実践について、中心的な実践を展開したアリゾナ州の実践校の訪問はかなわなかったが、アリゾナ大学のGoodman,K&Goodman,Yの著作や、アリゾナ州での研究事例の資料を収集し、検討を進めた。とくに幼稚園(K)段階での言語発達の見取り(評価)について焦点を絞り、そこでの音素への気づきの見取りに着目した。 2.実践研究 小学校低中学年より教科として英語を導入している小学校(私立含む)、小学校低中学年より外国語活動を行っている小学校を中心に、研究授業の参観や通常授業の参観を行った(たとえば、岐阜県笠原小学校、京都市立高倉小学校、彦根市立の小学校など)。あわせて小学校現場でパンフレットをもとにした授業を実施(山口県防府市立小学校)、現場教員・英語専門教員とともに、小学校6年間の文字学習カリキュラムの開発について協議を行った。 3.研究の発信 以上の二つの柱を踏まえて、これまで製作した入門期文字学習のパンフレットをもとに、その改善点や今後の方針を含め、日本児童英語教育学会関西支部研究大会で紹介した。また、外国語活動における目標・評価の視点から外国語活動に求められる文字学習のあり方を教育目標評価学会にて発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した二つの柱のうち、1の柱、入門期英語教育における「文字への気付き」を高める指導をめぐる理論的研究においては、大学業務、および所属先変更等の理由で2月ごろに計画していたアメリカ・アリゾナ州の小学校訪問および調査は実現しなかった。けれども、文献調査の対象となる資料の収集、およびこれまで収集した資料の検討は順調に進展している。2の柱、小学校でのリサーチによる「文字への気付き」を軸としたカリキュラム試案の開発については、当初予定していた先進的な実践の調査、資料収集に加え、自身が作成した文字学習パンフレット(H21-25若手Bによる研究成果)をもとに、小学校現場で模擬授業を行う機会を得た(2014年9月、山口県防府市の小学校)。また、予備調査は自身では行えなかったものの、同様の調査を行っている先行研究を広く収集することが出来ており、次年度での研究の土台となる資料を確保できている。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基本的に研究計画どおりに進めていきたい。今年度かなわなかったアメリカでの文字学習に関する調査は次年度ならびに最終年度までには実施したいと考える。けれども、大学業務の関係で長期間の調査が難しいことが考えられ、それに代わる資料収集を積極的に進めていくことを常に心がけておきたい。また、外国語活動における文字学習への注目は今後さらに強まっていくことが考えられる。また、文部科学省からの副教材の補助教材も発信されたことから、その動向を踏まえて研究成果を整理し、社会に発信していくことが強く望まれる。その際には、学会発表や投稿論文の執筆に加え、学校現場での指導助言においても、研究成果を元に発信していく。
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Causes of Carryover |
研究計画で予定していたアメリカでの小学校訪問調査が大学業務の関係で実施できなかったため、その分の旅費が使用されなかった。また、訪問調査が不可能であった分、文献資料やアメリカでの言語教育で用いられている教材分析を行うため資料を収集したが、今年度中に検討できる資料の購入分では満額にはいたらなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度で予定しているアメリカでの小学校訪問調査の旅費の一部として充当する。
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