2017 Fiscal Year Research-status Report
小学校教員検定試験における「教育科」試験問題の分析――兵庫県の事例を中心に――
Project/Area Number |
26780469
|
Research Institution | Yamaguchi College of Arts |
Principal Investigator |
山本 朗登 山口芸術短期大学, 保育学科, 准教授 (60611704)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 教員養成 / 教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究4年目にあたる本年度は、昨年度新たな課題として浮上した検定試験の参考書(あるいは師範学校の教科書)の分析、試験問題の分析を行うことを主な課題とした。その内容としては、①試験問題の分析に向けての教科書分析、②試験問題の分析、③検定試験に用いられた教科書群の継続的収集と整理、④比較対象とする府県の傾向を明らかにするための問題集の収集・整理の4点である。 ①に関しては、兵庫県で使用されたことがわかっている教科書および兵庫県では採用されなかったものの比較的長期間にわたって同時期に発行されていた形跡のある教科書をいくつか絞り、比較検討を含めて分析を開始することができた。試験問題の分析にあたっては、これらの教科書分析が必須であると考えているが、各教科書の全体の中での位置づけの把握や執筆者の編纂意図の分析に困難があり、教科書選定の妥当性の確認を含め、想定以上の時間がかかっている。また執筆者の調査が進むにつれ彼らに関する理解に一部誤解があったことがわかり、分析の修正を行っている。 ②については、①の教科書の分析と同時並行的に行っていたが、①における分析の修正が必要になった関係で、一旦行った分析の見直しを行っている。 ③および④については、前年度から引き続き、必要と判断した範囲で収集に努めている。特に他府県の試験問題については、問題を収集できた時期が兵庫県の試験問題が存在する時期と必ずしも一致するわけではないため、継続的に比較できる府県の特定が難しいことから、複数県を選定することとし、資料収集を行うこととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の計画については、前述の①に関しては、分析に困難が伴うことは事前に想定していたものの、選定した教科書に多くの修正版や改訂版が存在することや、教科書の執筆者に関して続々と資料が集まったため、その理解と分析に多くの時間を要することになった。資料収集に関しては、想定した以上の資料が収集できたものの、計画通りに進む目途が立たなかったことから1年間の延長を申請した。 ②については、当初教科書分析と同時並行で行っていたが、基本的には教科書の分析結果に左右されるものであるため、執筆者に関する理解について一部誤解があったことが判明した際には、修正を余儀なくされるなどの混乱が生じた。そのため優先的に①の教科書分析に注力すべきと判断し、計画を変更した。 ③および④については、検定受験者が併願していた可能性が比較的高いと思われる近隣府県に的を絞り、資料収集に努めたところ、期待した程度に資料を収集することができた。この点については、おおむね順調に進捗している。 以上のことから(3)やや遅延していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点の問題としては、教科書分析に多くの時間がかかる結果となっている点があげられる。しかしこの点については、採用当初の計画には盛り込んでいなかったものの、試験問題にかかわる資料の残存状況を鑑みると、最も重要な分析指標になることは明白であるため、重点的に分析を行いたいと考えている。時間的制約を考慮し、分析範囲の縮小(出題分野や出題期間など)も考慮に入れる。 そこで、本年度の計画の中心としては、①検定試験に使用された教科書の分析、②各試験分野における試験問題の分析とし、付随して③前述の①、②において必要となる追加資料の随時収集、④研究成果の公表の4点とする。②の段階については、時間的な制約を考慮し、今回は兵庫県一県ないし可能な範囲で近隣府県の分析を中心としたい。
|
Causes of Carryover |
進捗状況の項でも述べたように、1年間の延長申請を行うこととしたため、最終年度となる次年度で必要となる経費を残すこととした。 次年度は、①必要に応じて行う追加資料収集のための物品費または旅費、②研究成果の発表・公表に関する旅費等の必要経費に使用する予定である。
|